
『癒しの手のアルス 嘘つきたちが駆けていく』
(いやしのてのあるす うそつきたちがかけていく)
渡瀬 桂子
集英社 (2003.11)
挿絵:KIRIN
内容:(紹介文より)
「癒しの手」の能力で、どんな病も治すというアルス。
タイレンの竜騎士ラティスは、病に臥す王太子のため三人の部下と、彼が住む村を訪ねる。そこで出会ったアイリスという美しい娘に案内を頼むが、彼女は四人を騙し、相棒のアーウィンと逃げ出してしまう。
怒りに駆られ、二人を捕らえたラティスは、アイリスが男だと見破る。なんとアイリスこそが「癒しの手」のアルスその人だったのだ…!
感想
「嘘つきたちが駆けていく」
なんて正直なタイトルでしょうか。
外面のいい腹黒い人物を彷彿とさせます。
上記の内容のとおり、嘘つきは主人公アルス。
嘘つきな主人公って、役立たずとか弱虫とか獣とかより質悪そうですね。
従者アーウィンまでも共謀して、真面目な小隊長ラティス殿を騙し、困惑させることをいって苛立たせ、逃亡を企てて疲労したところでドレスを買わせるという悪奴さ! 従者の分まで!?
隊長殿の財布が心配です。
でも、隊長はこれくらいではへこたれない。
友好関係を築こうと握手を求めるも、二回目以降は叶わず。
裸の付き合い大作戦も、ただ和むだけで、かえって丸め込まれたように終了。
敵の罠をかい潜りながら寝起きを共にするも、正体の掴めない二人。
ただ確かなことは、嘘つきなのに憎めない奴らだってことです。その理由に気付いた時、隊長は大切なものに気付く……。
えぇ話や。
と、主役にならって尾鰭背鰭をつけてみました。どこからどこまでが本物なのか、あるいはニセモノなのかは、どうぞ好きなように嗅ぎとってください。
結果が見えているのに「最後まで出来るよ」と言ってみたり。
間に合わないのに「大丈夫、間に合うよ」と言ってみたり。
思ってもいないのに「ありがとう」「嬉しい」なんて。
日常に嘘は溢れています。人に善悪があるように、嘘にも善悪があります。
それは当然のこと。
だって、嘘は人がつくものだから。
悪い嘘は悲しいけれど、今この時のためにどうしても必要な嘘や、辛過ぎる現実から少しだけ離れるための嘘は必要に思うんですが。
いかがなものでしょうか?
2005.07.11-12