原 〓 / 原 〓著 (はら りょう)
早川書房 (2004.11)
通常2~3日以内に発送します。
早川書房 (2004.11)
通常2~3日以内に発送します。
(おろかものしすべし)
内容:(本文より)
その年最後に私が<渡辺探偵事務所>のドアを開けたとき、どこかに挟んであった二つ折りの薄茶色のメモ用紙が、翅を動かすのも面倒くさくなった動かすのも厭世主義の蛾のように落ちてきた。およそ十四時間後には、ドアの色あせたペンキの看板を塗りなおそうと思いたってから、七度目の新しい年がくる。
感想
九年振りの新刊で、第二部の始まり。
そうか。そういわれると、なんだか前回、一区切りついたような気がする。
探偵・沢崎の、クールでちょっと煮詰まった煮物風味は久々に美味しかったぁ。
知人に紹介してもらったのがきっかけで一目惚れしまして、以来、まだかまだかと原さんの悠著さに差に振り回されております。
細かくありながら邪魔と思わせない描写。比喩というより揶揄が織り込められた文。どれが伏線か探しながら読むんですが、ほんの些細なことが重要だったりして、なかなか当らない。悔しいけど嬉しい。
そして、沢崎のリアルさに一番惚れました。
完璧ではないけれど、探偵としてはピカイチ。くたびれた中年度が冊数を増すごとに上る。
一人称「私」の物語風な日誌を読んでいるようです。当時は一人称が非常に苦手でしたが、原さんのおかげで食わず嫌いと判明しました。ついでにハードボイルがなんであるかも知りました。
また、文体もですが、物語も全体的に淡々としていて、鼻息荒く興奮することはないのです。
ただ読み始めたら止められなくなって、終わりは「あー読んだ読んだ」とホッとする。すぐに二読目突入は辛いくらいハマりますよ。
さて、今回はというと。
さすがに九年も経ってますから、登場人物も現代的な人(?)が出てきます。
引きこもり青年とその母(ちょっとお疲れ気味)。時代に取り残されたような老人と使用人たち。慎ましく平和に生きようとする家族と、その願いを叶えようとする親分。いくつもの顔を持つ怪しげな男……等々。
お馴染みの人が出てこなかったので、ちょっと寂しかったです。お仕事ならしかたないですね。うん。……ネクタイにアイロンかけたかなぁ?
人も現代にそって変化してますが、探偵さんは一向に変化なし。いや、歳はお取になったようですが、中身はぜんぜん変わっていません。
嬉しいなぁ。
2005.05.30-06.01
