「ふんふんふん、ふんふんふーん
 もぉーいーくつねーるーとー、たー」
「待てー!」
「あ、てる」
「あじゃねぇ!」
「う?」
 くりくりした目が見上げてくる。
 なんて懲りないヤツなんだ。早く病院行け。

「ニコ、いま、なんの歌うたってた?」
「え? 歌? あのね、た」
「うぉっほん! 聞いてなかった。もう一回」
「だからぁ、たなば」
「待て待て待てぇ! あきらかに間違ってるだろ?」

 改めて言うが、曲はいかにも年末に口ずさむに相応しかろう。が、今は夏だ。冬じゃない。
 そしてまた、曲名が絶対に違う。全部を聞かずとも頭文字からして違う。
 いや、やはりこの場合、曲名はいいんだろうか? 曲も歌詞も明らかにおかしいが、曲名だけあっているということはどうなんだ? まだわからないぞ。

「いいか、ニコ。落ち着いてよく考えるんだ。おまえが歌ってたのは、本当にソレか? タイトルと合ってるか?」
「うん」
 少しは考えろ。
「今、何月だ?」
「七月」
「そう、七月だ。十二月じゃないんだ。年末じゃないんだ」
「てる、アタマ大丈夫? 病院についてったげようか?」
 そっくりそのままお返ししてやる。

「あ、そうだ」
 ニコがポケットを漁り、なにやら細長い紙切れを渡される。
「お願い事を書いてね、パンダに食べさせるんだよ」
 なぜパンダ?
「ちゃんと書いといたから、あとは名前書いてね」
 よく見ると、古代文字が書かれている。
 ニコ、いい加減に現代文字を使え。マツさんを見習うんじゃない。

「なぁ、これ、なんて書いてあるんだ?」
「『ボンノーが取れますように』」
「…………………………………………………………っ」

 ヤツをパンダ野郎に食べさせたい、なんて思った。
 短冊に書いちゃろか。


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