「おまえは……庭師なの?」
「いいや」
「ここで何をしているのです?」
「昼寝」
 アルフレッダはため息をついた。
 どこの田舎から来たのだろう。言葉遣いも態度も主人に対するものではないし、明らかに仕事を怠けている。

「だれがそれを許しました?」
「誰の許可も取っていない」
 アルフレッダは不愉快さに眉をひそめた。
「ここはわたくしの庭です。かっては許しません」
「それは悪かった」
 あっさりと謝られ、拍子抜けする。

「すぐに仕事にもどりなさい。あとでしおきを受けるように」
「仕事……というのは、この屋敷の?」
「そうです。おまえはつえる屋敷をまちがえたのですか?」
「どこかに仕えた覚えはないんだ」
「…………。おまえは泥棒なの?」
「いいや。生活に困っているわけじゃない」
「盗みをしようとしたわけではないのね」
「居心地がよかったから、つい寝てた」

 また眉をひそめなければならかなった。
 いったい、この屋敷の警備はどうなっているのだろう。

 青年は暢気に背伸びなどをしている。泥棒にしては逃げも隠れもせず態度が堂々としていて、刃物のひとつも身につけていないようだ。
「わかりました。今回は許しましょう」
「そうか。ありがとう」
「でも、もう、人の敷地にかってに、はいってはいけませんよ」
「気をつけよう」
 素直な様子に安心した。少々常識外れだが、悪い人間ではないのかもしれない。


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