「あーダルー」
机に上半身をつっぷしたものから溶けかけたナメクジのような声がした。
人間だったんだ。
「テルぅ、アイスココアぁ」
「はいはい」
溶けかけたナメクジのような人間がアイスココアを飲むなんて、世も末だ。
ガランとした事務所に香ばしい香りが漂った。
「たっだいまー」
ホクホク顔のニコが駆け込んできた。なんだその世界の幸せを全部背負ったような笑顔は!
「見て見てー。バウンドケーキもらったんだよ」
「お! 食おう食おう!」
ナメクジが甘味大王に変身して台所に駆けていく。
「もらったって、知らないヤツにもらったんじゃねーだろうな?」
「うん。トーコにね、もらったの」
何をぉ!
「待て! なんでおまえがトーコにケーキもらうんだ!」
「一緒におやつしたの。でね、美味しくってね、美味しいって言ったらね、お土産にもらったの」
羨ましい!
「二つあるからって、トーコいいよねって聞いてね、いいよ、って貰ったの」
「まて、トーコに貰ったんじゃないのか?」
「え? うんと、だからね、作ったのはトーコの」
間が悪い。
「包丁もって来たぞー」
「はーい」
ニコは逃げた。
トーコの……なんだろう。誰だろう。
気になる。
「……タ、タダさん。トーコんって、誰と住んでるんです?」
モムモムと頬張っていたものを飲み込み、タダさんは人差し指を見せる。
「ひ・み・つ」
やめて下さい、左右に振りながら言うのは。気持ち悪い。
あぁ、気になる。
気になる……。
ウジウジ。
じめじめ。
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