小学館 (2001.12)
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(こじきのこ)
感想
頼東進氏は、近影で見る限り普通のおじさん。
でも題名どおり、乞食の子として、無縁仏を奉る廟で産まれました。
父は盲人、母は知的障害者。上には姉が一人、下にはなんと五弟五妹の大家族です。
父は胡弓や月琴を弾きながら物乞いして稼ぎますが、それだけでは養えません。ごく標準的な家庭でも難しい人数です。
で、長男・東進氏が一軒一軒の扉を叩いてお恵みを貰うという任務にでるんです。
四歳。
一家を養う歳だろうか。頼家では当然でした。
その日の収穫がなければ母弟妹は泣き、父に杖で打たれます。姉に励まされながら、蔑まれ同情を受け、天地を家に暮らします。
現実と思うには余りに悲惨で、物語だと囁かれれば納得したくなる、それほど壮絶な人生です。
ただ長男だというだけで小さな双肩に乗るには、現実はあまりにも重すぎる。なのに、腹が減ったと鳴く声を聞けば、堪えきれずに洗面器を持って、嵐だろうが出陣する。
虐待ともいえる父の仕打ちを受けながら、それでも父を尊敬し、家族を大切に思う気持ちはかわりません。……多少、後ろ向きになっても。
数年前の私だったら、頼東進氏の気持ちがわからなかったかもしれません。
たとえば、家族に子どもなど世話をする子がいる方。たまにはのんびり買い物に行こうと行ったはいいけれど、結局家族のものを買ってませんか? 自分のはまだ着れるからいいや、美味しそうだから買っていこうなんて、思うことがないですか?
それは彼の気持ちと変わりないものですよ。
昼間は学校で勤勉に励み、夜には物乞い--そういった毎日が、様々な人に助けてもらいながら続くわけです。
気が遠くなるような年月、物乞いをして一家を養いながら卒業し、恋をし結婚、出産。まさにレンガを一つ一つ積み上げて城を築いたのだと思います。
本当の意味で、裸一貫で築いた人です。
2005.05.25-27
