挿絵:西 桐子
内容
大正の終わり。
弾圧を逃れ、名ばかりとなった「表」土御門家。
密かに術を継承する「裏」本家--その一つ、神島家に新しい当主が誕生した。同時に三家からなる本家を取り仕切る鬼使いでもある彼女の名は、神島桐子。
まだ十歳の少女がのちに天才と呼ばれる道への、第一歩が始まる--。
感想
知徳編で格好良く去っていったババァ、もとい、桐子お祖母様の少女時代編です。
十二単衣を纏う乙女たちの心を射止めんと、殿方は烏帽子を掻き毟りながら恋文をしたためる、そんな時代……から随分経った大正の話です。桐子さん幾つだよ。
関東大震災からほんの数年後、時代の節目に当主の座に就きます。十歳だよ、小学生だよ。義務教育はまだか。ってか女学校はあったのかな?
ある意味カルチャーショックです。
私の十歳といえば……玉子焼きを作ろうとしてプレーンオムレツを作ってしまって凹んでました。再チャレンジすると金糸卵になりました。なぜ?
(閑話休題)
成樹が堂々と本人の前で口にした時代の真実が披露されるんですが、これがまた予想が外れたり当たったり外れたり。
桐子さんと聖の掛け合いや対立は予想の範疇。楽しかったなぁ。
弓生はもっと振り回されるかと思ってたけど、最後あたりではそっと控える影みたいになってて絵になる。アダルトバージョン? まだまだ懐かないゾ、な感じでした。
黒マントに和人形は怪しいけど、聖の書生はハマりました。
縁側でお茶している姿も似合ってます。これが弓生だと陰謀とか策謀とか渦巻いていそうなんですが、人によってこんなに違うんですね。人じゃないけど。
いつの時代も(なるだけ)こっそり、(できるだけ)目立たず生きてきた彼らですが、存在自体が目立つので、隠れても隠れたことにならないんですね。笑えるわー。
時代の節目はなにかとゴタゴタが起きるような……いや、何かが起こって時代が代わるのかな。陰謀、革命、交替劇。様々な出来事によって区切られるのは時代だけ。人の営みは簡単には変わらないのですね。
生活仕様が目まぐるしく変貌し、跡形も無くなったとしても、人の本質は変わらない。疑いながら、信じながら。怯えながら、守りながら。逃げながら、戦いながら、一秒毎に過ぎていくものに目を細めるのです。
過ぎたものは取り戻せません。
一つだけ。
一番大切なものが一つだけあれば、それで悲しまずに行けるのでは……なんて甘い考えでしょうかね。
上2005.05.09-10
下2005.05.15
:『封殺鬼 1 鬼族狩り』
:『封殺鬼 2 妖面伝説』
:『封殺鬼 3 朱の封印』
:『封殺鬼 4 ぬばたまの呪歌』
:『封殺鬼 5 邪神は嗤う』
:『封殺鬼 6 紺青の怨鬼』
:『封殺鬼 7 闇常世』
:『封殺鬼 8 修羅の降る刻』
:『封殺鬼 9 鳴弦の月』
