感想:
クマの畑とは?
クルミ大の三日月の模様がはいった真っ黒な種を、春に植えます。除草剤を散布し、鳥避けを設置。あとは適度な太陽と雨がいただけるようにお祈りします。
実りは、夏から秋にかけてあります。クマのなかでも小型(やや背の低い、体格のよい成人男性位)のツキノワグマが収穫できます。ただし、収穫がし過ぎると翌年には激減の恐れがあり……って止まらないです。止めてください。
良い子は信じないように。クマは哺乳類で、君たちと同じようにお父さんとお母さんがいて、お母さんのお腹からおんぎゃーとでてくるから。種や卵からは産まれないから。
ついでにいうと、なんとネコ目です。ニャーンです。
日本には、ヒグマとツキノワグマが生息しています。九州では絶滅(の可能性)、四国では絶滅の危機にあるそうです。
たとえばそれが、パンダなら。
パンダは日本には生息していません。だから中国からいただいたりして、動物園で会うことができます。でも、ヒグマやツキノワグマは日本にしかおらず、日本でいなくなったからといって、どこからかいただいてくることはできません。ニホンオオカミと同じく、日本にいなくなれば絶滅です。会うことはできません。
ポケットの中のビスケットを叩いたからといって、本当にビスケットが増えるわけではないんです。
クマは全身が利用できます。高額で取引されるのです。
クマは臆病です。逆上すると、木の実を砕くための牙を、木を削るための爪を使って攻撃しようとします。「来るな来るな、うわーん」とでも言っているのでしょうか。
本書は、町の郵便屋さんがクマの有害駆除に疑問を抱き、「一頭たりとも殺すなと言わないかわりに、一頭でも多く救いたい」という願い、「人も助かりクマも助かる方法」を探そうと思った理由、現段階での取り組みを綴ったものです。
素人さんなりに試行錯誤し、賛否両論のなかから良策を見つけだしたいという姿勢が印象的です。
また、自然と関わる農家の方だからこそわかる「クマの立場」。小事という認識ゆえの軽い扱い。語り調の文章は肩肘を張るものではないけれど、内容は腹の奥がきゅっと引きしまるようです。
私は田舎生まれの田舎育ち。今はなき故郷では、狸やイタチがうろついていました。ある日、わたしが助手席に乗っていたときです。ヤツは車で野兎を追い駆け出しました。
愕然としました。
こんなヤツと同じ種族であることがとても恥ずかしかった。
人は無邪気に殺生します。恥ずかしさも知らず他を傷つけます。その代償がいつかやってきて、やっと自然の恐ろしさ、繊細さを知ることになるのでしょうか。
その前に何かひとつ、救いが思いつけますように。
2005.05.10-12
