クラウディア

中村 幌
集英社 (2004.11)
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(くらうでぃあ)

内容:
 その日、ラタ・リンデルの元におかしな女性が訪ねてきた。大使館職員だというその女性が差し出した、半ば焼失された手紙をみて、ラタは六年前の恐ろしい記憶を呼び覚ます。
 女性の無茶苦茶な説明では、眠り姫のためにラタの歌が必要だというが--。

感想:
 一言でいうと、いきなり狙われる身になって色んな女にひっかき回される少年のお話、です。実も蓋もない言い方ですね。でも全体を見ると本当にこんなんですよ。

 現在と過去を行ったり来たりの忙しい内容です。ときどき目次を見て今いつかなー、なんて見返してみました。もう少し片付けてあったら読みやすいんですけどね。

 世界のモデルとしては、現実のドイツなんて出てきます。あ、フィクションですよ。あくまでもモデルですが、知った名前が出てくるわりには世界観が読みにくいのはなぜでしょう?

 主人公ラタが決意するきっかけの場面も、もう少し盛り上げてほしいかったな。あっさりしててわかりやすいんだけど、ただでさえ感情移入がしにくいんだから、せめて情緒がほしい。
 言葉のやり取りはおもしろいと思いました。ぽんぽんと出てきますね。ちょっと和やかーな会話で、戦争中ですかホントに、と突っ込みたくなるくらいです。

 でもね、争いで知人がどんどん亡くなる寂しさ、古い因習に固執して簡単に傷つけられる理不尽さ、最善を求める勇気、小さな可能性を信じたいと思う強さが織り込めてあるんですよ。もっともっと編みなれてくると、どんなお話を書かれるんでしょうか。

 これからが楽しみです。


2005.05.03