陰陽ノ京(みやこ) 巻の4

渡瀬 草一郎
メディアワークス (2003.5)
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(おんみょうのみやこ かんのよん)

挿 絵:洒乃 渉

内容
 珍しく客の多い日だった。
 住吉兼良は、住吉家の識神の命令で、何者かに思いをかけられた弟・清良を見張っていたが、意図的に巻かれたという。相談された慶滋保胤は識神・訃柚に清良の行き先を尋ねるが、そこには予想もしなかった相手がいた。

感想
 ホロッと泣かせてくれる一冊です。

 子どもはあっという間に大きくなりますが、死は同じように一瞬です。あっという間に終わってしまいます。
 昔、法要で、お坊さんのこんなお話がありました。
 お坊さんは上座に座っておられました。
「お年寄りでも若い方でも、いつ亡くなるのかわかりません。『我や先、人や先』とお経にもあるでしょう? もうすぐ世話になるんだからと、お年寄りをわたしに寄せなくてもいいんですよ。誰がそばに来てもらっても構いませんよ」

 刻一刻と過ぎていく時間の中で、どれだけのことを果たせるか。悔いの一片もなく、人生の終わりを迎えることができるのか--難しいですね。
 自分は執着心の薄い淡泊な奴だなんて思っているうちは、後悔だらけの最期になるんじゃないでしょうか。成したいことすら見つけられないままでは心休まらず、成し遂げられなければ悔い、成し遂げればあれで良かったのかと悩むんでしょう。
 本当に、思いを残さないで逝くのは難しいですね。

 今回は、清良が主役です。
 素材としては良いんだけど根性無しの軟弱者、未熟で心根は優しい青年。……褒めたよ。
 幼いけれど一端の女として恋心を抱く少女・蓮。
 周りは頭を悩ませて唸っているのに、二人だけの世界に浸っています。良いさ。存分に浸っても良いさ。後悔するくらいなら今存分に浸ればいいさ。
 甘えたい時に甘えて、泣きたい時は泣けばいいんです。

 えー。
 回を重ねるごとに、主人公であるはずの保胤センセイは何もしなくなるんですけど。じきに寝て起きたらすべてが終わってたりしてね。
 寝首をかかれないようにね。


2005.04.13-15

『空ノ鐘の響く惑星で』
『空ノ鐘の響く惑星で 2』
『空ノ鐘の響く惑星で 3』
『空ノ鐘の響く惑星で 4』
『空ノ鐘の響く惑星で 5』
『陰陽ノ京』
『陰陽ノ京 巻の二』
『陰陽ノ京 巻の三』