かいじんさまへ こしいれや
かむづまさんの おこしいれ
今でもあの音がふと甦る時がある。
晴れた日だというのに薄暗い空を見上げた時。
有象無象に集まった見知らぬ群衆に囲まれた時。
道路の端に座り込んで不思議な言葉を話す少女たちの声を耳にした時。
俯いて歩くビジネスマンの猫背に滲んだ汗を見つけた時。
満員電車で濃い匂いを発する女の、爪の分厚さに気付いた時--耳の奥をくすぐる音が甦る
カイネ
あの頃の僕らは一本の藁でしかなかった。
掴まっても道連れに溺れるだけだった。
カイネ
あの頃の僕らは空瓶でしかなかった。
陽にあたってキラキラと輝くだけで、海に放りいれられれば漂うしかなかった。
カイネ
あの頃の僕らは
幼すぎた
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