『鬼籍通覧 3 壺中の天』
 (きせきつうらん 3 こちゅうのてん)


著 者:椹野 道流

発 行:2001年6月
発行所:講談社 講談社ノベルス

内容:
 O医科大学法医学教室のメンバーは、たしかに、ゲームセンターで女性の遺体を診たはずだった。搬送中、女性の遺体が忽然と消え、あとには腐臭を放つ液体と土、一本の髪の毛だけが残った。
 メールで送られてきた「風太がずんこを殺した」、若い女性の部屋から見つかった「アヒルの足は、赤いか黄色いか?」。この二つのメッセージの意味は何なのか?

感想:
 夏の世の会談--変換ミスです。
 どこの世界の会談だ。何を話すんだと一人突っ込み。

 夏の夜の怪談。
 汗を滝のように流しながら走り回る刑事さんたちがびっくり仰天する事件が起こります。なんと、遺体が忽然と消えるのです。移動中に死体が起き上がったら周囲が気づくだろうし、ましてあれでは生き返らないだろう、と判断したのは伊月たちだった。
 暑さで唸る季節になんて頭の痛い事件だろう。

 とりあえず亡くなった女性の家族から捜索依頼が来るのを待ってはみるが、一向に現れないものだから、みんな半ば投げ出してしまいました。なにせ写真も血液も残っておらず、上層部に報告しようもないからです。

 だからって「あぁそうなんだふーん」では終わらないのが伊月たちです。なにせ遺体を診たんです。このままでは納得がいかないと、ミチルの姐さんは立ち上がります。
 でもはっきりいって、どうしようもないと思いそうな事件です。ミチルさんはまさに重箱の隅をつつくようにして手がかりを掴んでいきます。偶然も手伝ってくれます。

 それにしても、犯人の最後はすごかった。その場に居合わせたらわたし卒倒ものです。

 未成年の中絶には保護者の同意が必要なんですね。それができないから、言えないからってこっそり産んで捨ててしまう事件も現実にありますが。
 未成年でなくても中絶される方はいますし、理由もそれぞれにあるでしょうね。どんな子でも産みたいという人もいれば泣く泣く諦める人、絶対産みたくないという人、中絶が当たり前だなんていう人。

 あの人は、子どもが欲しかったんでしょうか?
 子どもを取り上げて夫婦ケンカする人たちはたくさんいますが、せめてその子が泣く泣く従うような結果にならなければいいなと思います。
 せめてその子が、産声を上げた瞬間、誰かが喜んでくれたらと思います。


2005.02.6-7

『鬼籍通覧 1 暁天の星』
『鬼籍通覧 2 無明の闇』
『鬼籍通覧 5 禅定の弓』