『炎風の聖者』
 (かぜのせいじゃ)


著 者:柴田 明美
挿 絵:高之原 翠

発 行:1996年11月
発行所:集英社 スーパーファンタジー文庫

内容:
 神官の卵ユリウスは、巡礼の旅に出て二年。初めて父から手紙をもらった。内容はなんのことはない、父が息子にあてる普通のものだった。
 それはその夜に起こった。何かが部屋の中で動いている。四角いものがカサコソと……。目を凝らしたユリウスには、ソレは紛れもなくアレに見えた。一体、あの父はなぜこんなものを送ってきたのか?
 ユリウスは勘違いがもとで同行することになった仲間とともに帰途に着くが、何者かに狙われる。
 二人と一体と一枚の巡礼の旅は続く?

感想:
 密かに好きな作家さんです。いや、隠す必要はないけど。
 全体的に絵本の雰囲気があります。ちょっぴりファンタジーで、ピリと辛味がある。そしてどこかで笑わせてくれる。

 この一冊は、わたしがすでに読んだ、柴田さんの書かれた本では一番笑ったものです。キャストからして笑沸かせてくれる。メンバーが揃うころにはお腹が痛いかった。突込みがもう、おもしろい。

 笑うところは多いけど、内容としてはテーマは重いです。ファザコンチックだけどみんな真剣です。
 乱闘に巻き込まれたり、勘違いされたり、付け狙われたり、苦悩したり、置いていかれたり、ケンカしたりと忙しいです。これを乗り越えて友情を築き上げていくという寸法です。
 残念ながら(?)恋愛モノではありません。

 ちょっと説明が長かったり、たぶんページの問題で縮小したんだろうなと思うような惜しいところが数箇所。でも最後はやっぱり笑沸かしてくれるのです。
 いつか思う存分、たとえ分厚くなろうと書いていただきたいと思うのですが。優しく柔らかく、かつ面白いという作品を作られる人はなかなかいないですし、長編を読んでみたいと思うのですよ、わたしが。
 きっと楽しいだろうな。

 さぁ、腹を捩ってみよう。

2005.01.16