『御宿かわせみ 1』(おんやどかわせみ 1)
著 者:平岩 弓枝
発 行:2004年3月
発行所:文芸春秋 文春文庫
内容:
役人を兄にもつ神林東吾と、旅籠の女主人るいは、一年ほど前から恋人となった。
子どものいない兄の跡を継ぐだろう東吾と、役人だった父の遺言どおり平民となったるいの恋は先が見えない。東吾は兄の跡を継いでるいを嫁にするのも、旅籠の女主人の亭主になることも厭わないと言う。
だがるいは、東吾が跡を継ぐかも知れないことは当然だと思いながら、その妻になるには自分はふさわしいとは思えなかった。元役人の娘といえど、今はもう一般人なのだ。旅籠の主人にするなどとんでもないとさえ思っている。
身分違いの恋にゆれる二人を取り巻くさまざまな事件。
人情捕物帳。
感想:
まず一言。
おもしろかった。
をわり。(ぇ
人情捕物帳と紹介にはありましたが、恋情捕物長かと。いや、恋ばっかりではないんですけどね、惚れた晴れたの騒動が多いかな、と。
飄々とした良い男の東吾と、じゃじゃ馬ぶりを抑えて忍ぶ恋をしようとするるい。
はたから見ていて微笑ましいというか恥ずかしい二人です。周囲の人も見てみぬ振りしすぎというか、わざわざからかったりして楽しいのです。
昔はお役所勤めの人とも「身分違い」があるんですね。まぁ現代だって安定・高収入の人と付き合ったり結婚したりすると羨ましがられますが、さらに身分制度の重さがあるのです。
読んでいて思ったんですが、西洋風に言えば騎士のようなものなんですね。だから本当は一代限りの位なんですが、実際には世襲制だったようです。息子がいなければ養子や娘婿に継がせて代々その地位を守るわけです。まぁ、安定した高収入があれば教育費を賄えるでしょうし、勉強や躾も教える人が身内にいるんだから、自然そうなるかもしれませんね。
そんなわけで、それなりの教養を身につけながらも市井におりたるいですが、心配性で世話焼きで優しい彼女はついつい色んなことに首を突っ込むわけです。突っ込まなくても、サービス業の性で向こうからやってくるわけです。で、東吾が困ったやつだと笑うんですね。あぁ、ハートが飛び交ってる……。
文体も女性らしい柔らかなもので、すいすい読めます。さすが!
短編が八編。みんな事件です。捕物です。
ちなみにわたしが読んだのは新装版の文庫です。ハードカバーは持つのが辛い。
「初春の客」←しょっぱなから泣かされました。
「花冷え」
「卯の花匂う」←おかーちゃーん
「秋の蛍」
「倉の中」←るいちゃん落ち着け
「師走の客」
「江戸は雪」←肝太い
「玉屋の紅」←絡んでる絡んでる
都会はすごいや。事件がいっぱいで。(←偏見?)
そうえいば、これはテレビドラマで観たのが最初でした。わたしは時代劇物で育ったものですから、これは面白い、と隙あらば観ていたものです。
またやらないかなー。
2004.11.23-25
:『御宿かわせみ 1』
:『御宿かわせみ 2 江戸の子守唄』