中を覗き込むと、ソレは薄暗闇からそっと顔を出していた。
 銀色のもので覆われているが、その下には面長で単調な顔が眠っているはずだ。
 わたしは無意識のうちに手を上げていた。ソレに触れもしないうちに手は引き返す。
 そう。今はまだダメだ。
 もう遅すぎる。
 今ソレに手を出したら、きっと眠れなくなるだろう。
 わたしは身を千切られる思いで扉を閉め、冷蔵庫に背を向けて座り込んだ。
 何度も自分に言い聞かせ、なんとかベッドに潜り込む。
 その晩みた夢を忘れないだろう。
 銀色の包みからちょっと顔を出した黄色いアレが、わたしへ向かって駆けてくる夢を。

 (スキッチャ・バナナーノ著 『ダイエッターの鉄則 第三章 就寝前は禁間食』より)