「アンケート」⑤ | My-Hero

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ヒーローに憧れた夢。

残るは二人か。もう夜になっちゃうなー。悪いな、二人とも。先生のせいで。いや、他の生徒のアンケート用紙は見せてはいけないことになっているんだ。すまないな。だかな、皆ちゃんと書いてくれたみたいだぞ。文字でびっしり埋まってるみたいだ。


二人とも、どれくらい書けたんだ?一通り書いたなら、もうこの辺で止めとくか。そうなんだが、しかしここまで書けなかったんだ。これからいくら時間を掛けたって無理だろう。


で、どっちなんだ?犯人は。そんなに驚かなくてもいいだろ。分かってたことじゃないか。いや、犯人は一人のはずだから。もう一人は本当に驚いてるんだよな、ごめんな。俺の子供に酷いことした奴は、どっちだ?


このアンケートは先生が作った。先生への意見や批判を問う内容だったろ。犯人なら、真っ先に埋められるアンケートだ。だが犯人は、果たして素直に書くだろうか。いや、疑われない為に一文字も書かないのではないかと先生は考えた。


生徒なら誰だって、教師への不満は少なからず持ってるもんだ。教師だって人間で、完璧な人間なんて、一人もいない。だから、例え先生を嫌いでなくとも、書けないと言うことは有り得ないと思った。


まして子供の命がかかってるんだ。無理してでも書くはずだ。現に荒木を泣かせてしまったしな。後でちゃんと謝らないとな。


正直に名乗り出てくれ。今無事に子供も還してくれるなら、警察には言わない。クラスの皆には、巻き込んでしまった償いとして話すが。ベラベラと他言するような生徒は一人もいないはずだ。大丈夫だ。


明日からも普通に登校して、普通に授業を受けて、普通の中学生でいられるんだ。早く、子供を還してくれ。今何処にいるんだ?誰といるんだ?何してるんだ?心配で先生、今こうして冷静に話してるのもやっとなんだ。お願いだ。還してくれ。





また つづく。