「アンケート」① | My-Hero

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ヒーローに憧れた夢。

ほーい、先生からちょっといいかー。みんな帰る準備万端のとこ悪いんだが、もうちょっと時間をくれ。そんな声出すなよ、なるべく早く終わるようにするから。


えー、これからみんなに1枚のプリントを配る。これから説明するって。何のプリントかというと、あることをみんなに教えてもらいたいという人がいて、その人が作ったアンケート用紙になってるんだ。誰かは教えられない。なんでも。その人はとても困っているんだ。みんな、協力してあげて欲しい。じゃあ配るぞー。


名前は書かなくて大丈夫だ。匿名になっていて、どれが誰のかは分からない仕組みになっている。だから、みんな本当のことを書いてくれ。そりゃあ先生が見れば、名前がなくても字だけでこのクラスの誰が書いたかは分かるが。先生は見ないし、このアンケートを作った人は字だけでは誰かは分からないから、そこは安心して真実を書いて欲しい。


友だちと相談しちゃ駄目だぞー。しっかり自分で考え、しっかり自分の意見を持つことが大事だからな。そうだな、帰りの会も終わってるし、書けた者から前に提出して、そのまま帰っていいぞー。だからって手を抜くなよ。しっかり書かないと、後悔することになるかもしれないぞ。いや、先生も言われただけだから、どういう意味かは分からん。ただ、帰りたいからってテキトーに書いちゃ駄目ってことだ。


いや、実はな、先生もアンケートを誰が作ったのかは知らないんだ。教師は見てはいけないことになっていて、内容も知らされていないんだ。んー、気にならないと言ったら嘘になるが、まぁそう決まっているのだから仕方ないだろう。


そんなことはいいから、早くアンケートに答えなさい。全部埋まらないと、今日は帰れないぞー。そうだ、だから喋ってる暇があったらペンを動かせ。


みんな、どうしたんだ?作文や感想文なんて、いつもちゃちゃっと書いちゃうのに。小論文だって、こんなに時間掛けないだろいつも。


いや、先生は見ちゃいけないんだって。止めろ!あ、いや、すまん。大きい声を出して申し訳なかった。だがな、生徒に読ませて、教師が内容を知ることも許されてないんだ。すまないが、分かってくれ。誰にって、それが先生にも分からないんだ。





また つづく。