「探し物」⑥ | My-Hero

My-Hero

ヒーローに憧れた夢。

えー簡単ではございますが、以上をもちまして、Akinaの新作発表会、並びにサイン会を終了させて頂きます。本日はお足元の悪い中、たくさんの方々にお越し頂き、誠にありがとうございました。


やばーい、疲れたー


お疲れ様。


もう手がプルプル~


かしてごらん、マッサージしてあげる。


え、いいよいいよ。晃姉も司会疲れたでしょ?ね、今からちょっと一緒にお昼寝しようよ★


そうしたい気持ちはやまやまなんだけど、そんなにゆっくりする時間はないかなー。


え~、まだなんかあるのー?


続きまして、雑誌のインタビューでございます。


ひ~~~


頑張れ頑張れ、それ終わったらちょっと長めの休憩取れるから。


休憩!?終わりじゃなくて?しかもちょっと長めって…どっち!?


そんだけ頭動いてれば、インタビューも楽勝ね。行くわよー。


あーん、待ってよぉ。


失礼します。お待たせして申し訳ありませんでした。本日は宜しくお願い致します。


よろしくお願いします!

はい、大丈夫です。

はい。
今回の作品は、頑張ってる人に読んでもらいたいなって思ってます。

はい。
頑張ってる人って素敵じゃないですか。一生懸命な人って、カッコイイと思います。そんな人を応援するのって、幸せだと思うんです。このお話が、頑張ってる誰かのパワーになれたら。みんなに向けたエールになったらいいなと思って描きました。

はい、そうですね。

はい。
小説を描こうと思ったきっかけは、実は、子供の頃に読んだ本の影響なんです。

はい。
その本を読んだとき、感動したんです。本て、文字を読むだけなのに、こんなにも心が動くんだって。言葉ってすごいなって思ったんです。私もこんな風に物語を描いて、読んでくれた人の心に響いたらいいなって。それから、作家さんに興味持ってました。

そうですね。
あのとき、あの本に出会ってなかったら、私は今小説家ではないですね。

んー、なんだろ?
普通のOLかなぁ。実際に小説家になる前、そうでしたし。

はい。
楽しかったです。晃ね、マネージャーさんと同じ会社だったんですよ。

いえ。
出会いは、私が産まれたときです。

いえ。
姉妹じゃないんですけど。従姉妹なんです、私たち。でも、ほぼ姉妹と言っても過言ではないです。ちっちゃい頃からずっと一緒にいましたから。毎日のように遊んでたし。

そうなんです、血繋がってます。

ケンカは、しないですね。
仲悪くなった時期とかもないです。1回家が遠くなっちゃったときがあったんですけど、その時も毎日電話してましたよ。仲良いでしょ。

はい。
私一人っ子なんで、本当にお姉ちゃんみたいな存在なんです。大好きなお姉ちゃんです。

あ、そうそう。
私が中学生のときなんですけど、当時高校生だった明日美さんていう方が描いた物語です。

いえ。
会ったことないんです。どんな方かも知らないし、今何処に住んでいるのかも分かりません。

会いたいです。
最近もまた読んだんですけど、またまた感動しちゃいました。もう当時とかも暗記する程、何度も何度も読んだんですけどね。ストーリーもぜーんぶ分かってるのに感動するって、すごいことだと思いません?

晃ね、マネージャーさんだったらかぁ。
そうですねー


やだ、ちょっと何泣いてるのよ!?


え、あれ、なんでだろ。


どうしたっていうのよ?


いや、もしも晃姉があの本を描いたんだったらって想像したら、勝手に涙が出てきた。


だから、なんでよ?


たぶんね、嬉しんだと思う。私に夢を与えてくれた人が晃姉だったとしたら、ロマンティックじゃない。


晃子は、今まで内緒にしていたことに申し訳なさを感じていた。それは、那美が本当のことを知ったら、ガッカリするのではないかと不安だったから。自分が目標にしてきた本が、実は晃子が描いたものだったなんて分かったら、ショックを受けるんじゃないかと心配だったから。

でも、自分の夢に晃子が繋がっていると想像した那美は、涙を流して喜んだ。その姿を目の当たりにした晃子は、本気で那美を幸せにすることを改めて胸に誓うのであった。

この子は、私が絶対に幸せにする。

それが、晃子の夢だ。とても素敵な、ロマンティックな夢だ。


那美は、泣いてしまった自分が不思議で堪らなかった。晃子に指摘されるまで、泣いてることすら気付かなかった。未だに良く分からない感情だけど、兎に角嬉しかったのだ。明日美の正体が晃子だったら、どんなに素敵な運命なのだろう。自分の夢が、そのまま晃子ということだ。那美にとってそれは、正に人生最高のサプライズ。まるでフラッシュモブを仕掛けられたみたいに、驚きと感動に満ち溢れていた。

那美は、こんな運命が待ち受けていたのであったらと、想像しては幸せな気持ちに浸るのであった。

そして、いつか晃子を、心の底から感動させる。自分が味わった幸せを、晃子にも感じさせてあげたい。それが那美の夢だ。とても素敵な、ロマンティックな夢だ。



また つづく。