拝啓 コツコツ様
大切なことを発見する一日となった。
それは、終わりの見えない、果てしない仕事に思えた。どうにかして逃れたい。なんとかして回避したい。単純にやりたくないのだ。
簡単に出来ないものかと、必死にあれこれ知恵を絞った。何度も何度も試してみた。ああでもない、こうでもない。様々な、思い付く限りの方法を試みた。何一つ上手くいかなかった。
「どうして?」と泣き言まで、機械に向かって呟いた。その場で本当に泣き出したい気分だった。
何時間奮闘しただろう。空が昼間の目を瞑り、夕方の顔を覗かせていた。時間を掛けただけあって、なんとか最低限のことは把握できた。後は地道にコツコツと、作業をしていくのみだ。こうなったら、コツコツしかない。腹を括り、やってやると決意を固めた。
最初は確かに時間のかかる作業だった。でも流れに乗ると、なんともスムーズに熟せるようになってきた。慣れてしまえば、思っていた程の時間は掛からなそうだった。
始める前は、絶対に面倒臭いと決めつけていた。やりたくない。終わる訳がない。無理に決まってる。
しかし実際にやってみると、これは案外早目に完成しそうである。早目といっても、今月中に終われば良しと言った具合である。決して簡単な仕事ではない。
問題は体力と気力。運動不足の私の体は、すぐに悲鳴を上げた。やる気も長くは集中してくれない。気持ちを固めたつもりでいても、ふと「なんでこんなこと」が心を支配する。
でも、頑張れそうだ。なんとかなりそうだ。私にも出来そう。終わりも、少しだけその姿を表した。
やる前は、あんなに渋っていたのに。なんとか簡単に収めようと必死だったのに。いざやってみたら、地道にコツコツやるのが一番の近道であった。これは大発見である。
あれこれ手を加えようと、頭を固くするのでは、融通の利かない敗北を招く恐れがある。シンプルに、アナログなやり方が勝利することも、時として起こり得るのだ。
地道にコツコツ。
これが一番の近道。
大発見だ。
ちゃんと、覚えておくよ。
では いってきます。 敬具