拝啓 狩猟様
狩人たちは、モンスターを狩る。
それは、世界を救う為。
それは、人類の幸せの為。
今日も森で狩猟に明け暮れる。
狩人兄弟は、森に住んでいる。この兄弟は、産まれたときからずっと一緒だった。今では産まれた森を後にして、更に過酷な森での狩り暮らしをして生きている。兄弟は世界の為、人類の為にモンスターを狩り続けている。狩っても狩ってもどこから現れるのか、その終焉は一向に姿を見せてはくれない。森の住人の中には、そうしてここを去ってしまう者も数少なくない。見えないゴールを目指し突き進むには、信じるより他に道はない。去った住人には、それが途方もなく感じられたのであった。信じることに疲れ、信じる心を失ったのだ。
幸か不幸か、狩人兄弟は信じる力に満ち溢れている。疑う心を持っていない、と言った方が正しいかもしれない。誰かに裏切られたとしても、彼等が裏切ることは例えこの世の終わりが訪れようとも、有り得ないことだ。
兄はとても面倒見が良く、弟のみならず、近所の子供達全員のあんちゃん的存在であった。自分が成人しても尚、子供達と遊ぶときに手を抜くことはない。常に全力である。そんな、自分と対等に扱ってくれる兄への、子供達からの信頼は厚い。
狩人の兄は子供達のみならず、森中の人々から慕われていた。兄は、自分のことよりもまず相手のことを考えられる、心優しい人間である一方、リーダーシップの取れる才能も兼ね揃えた人物であった。過去の歴史を紐解けば、幾度となく森の住人達を救ってきたことは明らかだ。誰もが認める周知の事実、未来永劫伝説として語り継がれるであろう。
そんな兄を、弟は心の底から尊敬していた。
弟は、良く笑い、良く泣き、良く食べた。喜怒哀楽を包み隠さず表現する純真な性格の持ち主で、幼い頃から皆に愛された。家族に止まらず、一度会ったら既にお友達と言わんばかりの愛嬌を振り撒き、周りの誰もが弟を可愛がるのだった。
成人しても、ひたすら真っ直ぐな弟は、兄を熱心に手伝った。尊敬する兄の相棒を務めていることが、彼に自信を与えていた。もともと一つのことに夢中になったら止まらない性分ということもあり、どんどん狩りに専念していくのであった。その天性の輝きは、兄の目から見ても正に英雄の姿そのものだ。何をしても絵になる男前は、自慢の弟。
そんな弟を、兄は幸せにしてやると心に決めていた。
互いが互いのヒーローで、お互いに大好き同士。喧嘩なんてものは一切しない。とことん信じあっている。二人の絆は、本能だ。そんな二人は、今日も森でモンスターを狩る。狩猟本能剥き出しで、次々にモンスターを倒していく。世界の平和の為。人々の笑顔の為。日夜二人は戦ってゆく。森から逃げ出すようなことはしない。
狩人兄弟は、森で生きる。森で二人で生きてゆく。彼等にとって二ヵ所目の拠点となるこの森は、挫けそうになるくらい厳たるものがある。しかしその分、やりがいがあることもまた事実だ。自分たちで選び、自分たちの足で走ってきた。狩人兄弟は、森を楽しんでいる。想像が追い付かないくらい、二人は偉大に煌めいている。
彼等を応援している人々はたくさんいる。だって、今日も笑顔で生きているから。感謝の気持ちを込めて、精一杯の声援を送ろう。
狩人たちは、モンスターを狩る。
それは、世界を救う為。
それは、人類の幸せの為。
今日も森で本能の絆をはためかせて。
では いってきます。 敬具