拝啓 カルシウム様
先日事故を起こしまして。
関係者の皆々様におかれましては、多大なるご迷惑をおかけ致しましたことを、ここに深くお詫び申し上げます。
大変申し訳ございませんでした。
人を巻き込む事故でなかったことが、唯一の救いでございました。
ただ私の愛車が大破したのみでございます。
あんなに壊れた車を、私は今までに見たことがございません。
兎に角事故を起こしてしまったことが悔やまれ、ああしなければ良かった、こうしなければ良かったと、後の祭を休みなく開催中でございます。
こんな若輩者にも、体を心配してくださる有り難き存在がありました。
よくよく考えたら、その友人に言われるまで自分の体は一切気にしておりませんでした。
不思議なもので、言われてみると何処と無くあちこち痛い気がしてまいりました。
気持ちの問題でありましょうか。
しかし、心配してくださる友人には感謝です。
感動致しました。
さっそく温かいお言葉を胸に病院へ行きます。
検査してもらいます。
車の大破という天誅を食らった私です。
さぞや体にもいろんなところに影響が出ているであろうこと請け合いです。
様々な角度からレントゲンを撮影して頂きます。
ちょっとしたモデル並の勢いでポージングを繰り返しました。
精密検査です。
そこに写っていたのは、
なんと
無傷の私の骨でありました。
我ながら立派な骨でありました。
人様の骨を見たことはございませんが、なかなか太く良い骨であるなと思いました。
久々に、生きている と実感致しました。
自分の骨を見て、
あぁ、生きている
私はしっかりと生きているんだ
と感じたのです。
この感情は、自分でも驚きでありました。
自分の感覚にバビりました。
しかし、骨を見て命を感じるというのは
悪くないなと思いました。
命の源であるカルシウムを、摂っていこうと心と骨に誓う私でありました。
では いってきます。 敬具