先程読み終えまして、

興奮冷めやらぬまま感想なぞ。

Xにもポストしてるんですが、

やはり書ききれないんですよねぇ。


「スマートシティ」構想で立ち上げられた、
『WANOKUNI』プロジェクト。
健常者も障がい者も分け隔てなく生活できる、
ユニバーサルデザインな都市を構築する目標でもあった。
街としての機能は地下にあり、
地上には個人の住宅や教育施設など、
最低限の施設を残すだけ。
そしてこの都市の物流を支えるのが「ドローン」、
なのである。

幼い頃、兄を防げたかもしれない事故で
亡くしてしまった主人公・高木は
このプロジェクトに参加するドローン会社で働いていた。
幼い自分の臆病さで兄を亡くした高木は、
兄の口癖――「無理だと思ったらそこが限界なんだ」
という言葉を胸に刻み、
災害救助用のドローンを開発する会社に入ったのだ。


華々しく開かれたWANOKUNIプロジェクトの
オープンセレモニー。
そこには、「見えない・話せない・聞こえない」の
《三重障害》を持つ中川という、
象徴とされる女性も来ていた。

中川のスピーチが終り、ドローンショーも終え
セレモニーが閉会したその時。
街を巨大な地震が襲う。
活断層により崩れさった地下5階に取り残されたのは
ただ一人、《三重障害》を持つ中川。
地震により地下の上の階では火災が、
下からは浸水が迫りくる。

残された時間は6時間。
災害救助用ドローン「アリアドネ」を用いて、
中川をシェルターへ誘導しなければならない。
次々と困難が襲ってくる中、
見えず聞こえず話せない女性を高木はいかにして
安全に誘導するのか。

人命をかけた、重大な任務が始まるーーー。


て、感じのあらすじです。

最初は、災害パニック物かなー、なんて
あまり気乗りもせず読み始めたのですが。
なかなかどうして。

自分に勇気があったら救えたかもしれない、
兄の口癖をポリシーのようにして生きてきた
高木にも、「無理だ」と思ってしまう困難な状況。
中川の障害への疑惑。
昔のクラスメイトの失声症の妹の行方不明。

ネットで早速叩く人が出てきたり、
深まっていく疑惑と救出困難な状況に
読み始めると引き込まれました。

正直、あたしはドローンには興味がないですが、
要救助者(中川)の不可解な行動に
翻弄されていたら、
最後に明らかになった事実に
静かな感動と興奮がありました。


井上真偽さんの作品は、
初期の多重解決ミステリとは全然趣が違って。
はっきり言って、成長目覚ましい感じです。

ちょっとあっさりめなので、
もう少し深く掘り下げても良かったかもしれません。
が、逆にくどくなり過ぎないように
されたような気もします。

読みやすいし、面白かったです。