こんな時間に、すみません。

今再読を終えたので

感想を書いておきたくて。

所謂、自分の為の備忘録です。


『鉄道員(ぽっぽや)』著:浅田次郎


8編からなる、短編集です。
表題作『鉄道員』が
映画化された事でもおなじみだと思います。

あたしがこれを初めて読んだのは、
高校生のときだったと思います。
中に収録されている、
『角筈にて』が模試の試験問題で出て、
続きが気になって読んだのでした。
タイトルも忘れていたのに、
本を手にとって思い出しました。

その時も感動したのは覚えてます。
けど今回、再読してみて。
より、登場人物たちの歳に近くなった今
まあ、泣けるわ泣けるわ。

解説で言及されている、
「熱烈に語る短編が人によって異なる」
というのも、むべなるかな。
それは大きくわかれて、
「鉄道員」「ラブ・レター」「角筈にて」
「うらぼんえ」の四派らしく。
ああ、もう、両手を上げて賛成です。
けど、他の短編が劣っていると言う事では
決してなく。
例えば最後の「オリヲン座からの招待状」も
ボロボロ泣きました。

泣けるといっても、
悲しい涙だけではないんです。
仄かな希望とか、優しさとか、
そういうものがあります。

あたしは、思い入れがある「角筈にて」が
一番好きかな。


プロジェクト失敗の責任を取る形で、
本社営業部長から
リオデジャネイロ支店長に異動となる主人公。
8歳の時に父親に捨てられた
(それを幼心に理解していた)恭一は、
壮行会のあった夜、
父親と別れた新宿の角筈で
その父親に似た男を見かける。
母親は死に、事業は失敗し、
父親は自分を捨てて別の女性と遠くに行く。
それに気がつきつつも、
「このバス停でずっと待っている、
ずっと待ってるからここに戻ってきて」
と父親に言う恭一。
最終のバスで伯父さんの家に辿り着いて、
その家に暖かく迎え入れられるも…。
という、お話。

そこからまたどんどん回想が入って、
クライマックスは現在に繋がって
そこからはもう涙なしには読むことが
不可能なくらいです。

1997年に刊行された、本書。
今の高校生〜20代前半の子は
読んだことがないかもしれません。
でも、今回再読してみて
色褪せない名作、というのはあるんだなぁ、
としみじみ感じました。

読んだことがない方は、
絶対読んだ方がいいと
自信を持ってお勧めできる作品集です。


あー、泣いた泣いた。
感動でいっぱいです。
この感動のままに眠りにつこう。
夜遅くに、失礼しました。