ということで、昨日に引き続き将棋の第60期王将戦第一局について。


ところでこの『王将』というタイトルですが、第60期ということでかなり長い歴史があります。

しかし、実は歴代でこの王将を獲得できた棋士はわずかに14名

しかもその内、大山康晴が20期(全体の1/3!)、羽生善治が12期で、この二人だけでタイトルの歴史の半分以上が埋められてしまうことになります。

以前にも書きましたが、やはりごく一部の天才がタイトルの大半を独占してしまう、という世界なのですね。


さて、ついに本格的な開戦となった二日目。

41手目、挑戦者の豊島六段は『2四歩』の突き捨てから、攻撃を開始します。

仕掛けの際に歩の突き捨て、というのは常套手段の一つですが、どうもここで久保王将に歩を渡してしまったことが後で響くこととなったようです。

ここで穏やかな展開に持ち込み、一部の駒が上ずった状態の久保陣をゆっくり咎める順もあったのではないかと思われます。


豊島六段は突き捨てから『9七角』と、後手に角交換を迫りました。

非常に積極的な手ではありますが、自陣の玉に近い香車が上がってしまい防御力が下がるため、なかなか指しにくい手でもあります。


久保王将・棋王は、すかさずその一手を咎めにいきました。

端歩を突き、自陣に『6三角』と放って香車を奪いにかかります。

駒損が確定してしまった豊島六段ですが、香車が取られるまでの間に別方面でポイントを稼ぎたいところです。


苦しいながらも『4五銀』と駒を前進させていく豊島六段。

しかし、得した香車を『8四香』と打ち、一気に豊島玉に迫る久保王将・棋王。

豊島六段も必死に凌ぎつつ、反撃の機会を窺います。


しかし久保王将の70手目『5六歩』と、これまで攻撃に加わっていなかった飛車を活用する一手が強烈でした。

豊島六段も、このままではジリジリと王を追い詰められて、そのまま負けてしまいます。

ここで豊島六段は、桂馬を捨てて強引に大駒を活用する『5三成桂』。

続いて勝負手ともいえる『4五角打』と、久保陣に睨みを利かせました。


しかし、この段階で両者の持ち時間には一時間以上の差がありました。

久保王将は1時間ほど残しているのに対し、豊島六段はもう10分もありません。


時間に余裕のある久保王将は、冷静に対応。

豊島六段の攻め駒を着実に剥がし、機を見てすかさずトドメを刺しにいきました。


結局、最後は88手目『3八銀成』で必至がかかり、豊島六段が投了。

久保王将が先勝し、防衛に向けて一歩前進しました。

敗れた豊島六段、タイトル戦初挑戦ということもあって緊張もあったでしょうが、心機一転して第2局に挑んでほしいものですね。