「本当に怖いものは別にある」
というキャッチコピーがついた公演で公式サイトはhttp://officeendless.com/sp/yotsuya/ 。
2012年7月に上演された同名公演の再演でした。
ただこれがどうにも反応に困る物語で、1回目はもやもやして、反芻してから2回目を観たところで降ってきたのでつらつらと書き綴ってみます。
まあ、私にとって西田作品は多かれ少なかれいつも感想がはっきり出せなくてもやもやするのですが(苦笑)
「考えるな感じろ系」の舞台だなと思うので、矛盾してるところとかつつきはじめるときりがなくて混乱するのかも。
あと、人がたくさん死ぬ舞台なのでそのインパクトで細かいことが吹っ飛んでる感じもします。
ネタバレは一切考慮せず、あまり文章を整形していませんのであしからず。
しかも無駄に長いです(笑)
ちなみにこの感想のもとになった観劇日は5/4昼(A)Dエリア(舞台の後ろ側)と5/6夜BCエリア(B)(舞台サイド)です。
とりあえずミーハーな感想から。
良子さんがとても素敵。お岩の儚い感じと柵瑞(「さくはな」と読むそうです。スタッフさんに確認しました。ある台詞にかけてると聞きましたがなんだろ?「咲く花」かと思ったんだけど)のたたきつけるようなトーンのギャップがとても好き。
洋二郎さん、南君、谷口さんがぐっとトーンを落として話すシーンにドキドキしました。特に洋二郎さんのこういうトーン好きだなぁ。
アンドレのメンバーさんの殺陣がカッコいいのはいつものこととして、南くんときたむーの殺陣もカッコよかった!
今回アンサンブルさんがいないので、そのシーンに出てこない男性メンバーが殺陣衆をしてるのですが、お面被ってるので視界狭くて大変そう。しかも四方囲みだし。
一内さん、私は今まで観たことない感じでよてもよかったです。舞台が近かったので細かい表情までよく見えて引き込まれました。
武田さん、17歳でよくこれにトライしたなと尊敬します。しかも初舞台(゜ロ゜)
初演を観劇した方でトラウマになったって人も多いようですが、演じる側はもっと精神的にきつそうな作品なのにすごい。
Dに近いCブロックだったのでカテコがきたむーの近くで、うわー綺麗な人だなーとちょっと感動しました(笑)
大石役と隆役がWキャストだったわけですが、南くんと谷口さん、一内さんと桜田さんの対比がとても素敵で両方観られてよかったです。
以下作品の内容に触れています。作品の内容上、犯罪等の内容にも触れますのでご注意を。
また、記憶違いな内容があったらツッコミお願いします。
まず、物語の基本は事件が発覚してのちの少女Aにあるように思います。
「事件」は北九州監禁殺害事件を下敷きにしていますが、イコールではありません。
実際の事件についてはWiki等でいくらでも情報が見つかりますが、かなり凄まじいので自己責任で。
簡単に言うと、一人の男が妻とその家族及び仕事繋がりの父子家庭を虐待・洗脳し、互いを殺しあわせたという事件です。
で、クロスオーバーしてかぶってくるのが四谷怪談と忠臣蔵。
なんでこの2つがセットかというと、
--------------------
中村座における初演時は、時代物の『仮名手本忠臣蔵』と合わせて2日にわたって上演された。
--------------------
ということからなのかもしれません。
(Wiki(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E8%B0%B7%E6%80%AA%E8%AB%87)から引用)
注意しておきたいのは、「事件」もそうですが実際の鶴屋南北が書いた物語とは違うということです。
四谷怪談にでてくるのは「お岩」「伊右衛門」、忠臣蔵にでてくるのは「大石」「浅野」「堀部」で、お岩を取り合うような話では全くありません。
余談ですが、私は播州皿屋敷とごっちゃになってました。
いろいろあって容貌が醜くなり夫に疎まれ殺害されたのち復讐に走ったのがお岩さんで、お皿を壊される(盗まれる)等して処罰され夜な夜な井戸から皿を数える声が聞こえるのがお菊さん(皿屋敷)でした(--;
話を戻すと、事情聴取を受けている少女Aが思い出す感じで、事件の再現(回想?)がはいります。
事件の概要は以下のような感じ。
----------
7人の男女が監禁、殺害された。
しかし、容疑者は自ら手をくださず、被害者の見栄や罪悪感に漬け込んで言葉巧みに操り、相互不信を煽り立てて、被害者同士を虐待、殺人、死体損壊及び遺棄の実行者に仕立てあげたうえでの事だった。
度重なる異常事態の中で正常な判断を失っていく被害者たち。
理不尽な理由で父の死亡の一因だとなじられる少女A、父である容疑者の意のままに動く少年Y、夫である容疑者の支配下にある瑠璃子、過去を夫に知られる事を恐れる理恵、理恵に対する疑心を吹き込まれる孝、体面が大事でそのためならば良心を押さえ込んでしまう姉妹の両親。
少女Aはその連鎖の片隅にいて、容疑者に服従あるいは、積極的に協力する事で命を繋ぎ、最終的に生き残った。
----------
ルービックキューブと花びらと赤い紐が謎。
赤い紐は血とか関係だと思う。
花びらは一番最初は黄色とオレンジ(たぶん金木犀)の四角いもの、作中はピンクの花びら、ラストに上から降るのは銀色で、刀のきらめきか雪なのかなと思った。
ルービックキューブは洗脳の象徴かも。
家族に渡されるし、瑠璃子が戻ってきた後に容疑者が少女Aに優しくするシーン(「お前もう風呂場で寝なくていいぞ。あいつが最下位だ」とかのシーン)でも渡されているし、最後は粉々になるし。
余談ですが、天井からつるされた枠に入っているマネキンのオブジェは7つ、殺されたのは7人、装置の箱の中には赤or濃紫?の花と骨らしきもの(両端にふくらみがあったことからただの棒ではないと判断)が入っていたように思います。
あと、背中に鎖とおぼしきものがついてたんだけど、容疑者の背中にもしっかりあった。
妹夫婦が容疑者宅にやってきて酒盛りをするシーンで、宴会芸やらお酒を飲むことを強要されるシーンがあるのですが、そこがかなり気持ち悪い。
要はパワハラされてるわけで実際遭遇したら笑ってみてちゃいけないのに、笑って見てる自分たちが我に返ると気持ち悪い。
他にも虐待とか殺害とかえぐいシーンで、結構平然と見ている自分の向かいの観客が怖いとも感じました。
というか、私は声に出さずとも観劇中百面相をしてしまうタイプなので、ほかの人はそんなに表情に出さないのかとちょっと驚きました。
どのタイミングか忘れちゃいましたが、容疑者が「お前たちも共犯だ」というところでわざわざ四方の客席を指していたのも印象的。
四方囲みの客席にすることで、強制的に観客を物語の中に組み込もうとしたのかもしれない。
理恵が隆に絞殺されて、隆もそのまま死んでしまうシーン、Wキャストのお二人で雰囲気が違ってみえた。
どちらも完全に容疑者の支配下なんだけど、一内さんVerはコントロールを失っていて全てが終わってから我にかえる感じ、桜田さんVerはもうそれしかないと信じ込んでいて結果が分かっていて実行したような感じがした。
(ふらふらと舞台を一周して理恵のところで力尽きるあたりのリアクションの印象)
それにしてもこのシーン、理恵役の田代さん?が凄い。
カッと目を見開いて顎をあげて客席を見下ろす感じなんだけど、確かにこれはトラウマになるなぁという迫真の演技でした。
一方、四谷怪談+忠臣蔵は、お岩という女を中心とした愛憎劇と言えると思います。
こちらもどうにか無理矢理まとめてみると
-----
互いにコンプレックスを持ちながら成長してきた伊右衛門と一学。
一学は伊右衛門の妻となったお岩を想っており、彼もそれを知っている。
また、お岩は浅野内匠頭の家臣大石と繋がりを持っている。
実は大石の娘くうは妻りくの娘ではなくお岩の娘なのだ。
一学は浅野に仕える事となり伊右衛門は己の出世のために策を弄する。
もつれた糸は悲劇を生む。
伊右衛門とりくはくうをお岩と大石の子だと信じて、歪んだ愛人関係になる。
そしてお岩と出会い、仲良くなったくうに薬と言って毒を持たせる。
くうから差し出された薬を素直に飲もうとするお岩。
そこに伊右衛門がやってくる。
くうにそれを飲んで見るように言うが、拒否され激昂して彼女に掴みかかる。
そして無理矢理飲ませようとしたところを、子飼の手下に斬られてしまう。
そこへやってきたりくは愛人関係をほのめかし、話が違う、上役の娘をいたぶるとはと伊右衛門を糾弾し、彼の所業を黙っていて欲しければお岩にそれを飲むよう促す。
「お心遣い感謝します」とくうに告げて毒を飲み干してしまうお岩。
醜くなったお岩をみて逃げ出してしまう伊右衛門。
一人残され倒れ伏すお岩は、駆けつけた一学に殺してくれと懇願する。
さらに複雑に糸はもつれてしまう。
吉良を討とうとする浅野、殿の意向に従い仇討ちをして華々しく散りたい堀部、連座で家臣一同を死なせたくない大石、実の子でないと知りつつくうを守るりく、お岩を助け人を斬る覚悟をした一学、お岩の生存を知った事で気持ちに変化を起こした伊右衛門。
くうは浅野とお岩の間の子供で、大石は浅野を殺したくて、堀部は伊右衛門を苦々しく思っていて、お岩を想う伊右衛門。
誰が何を思うのか、誰が誰を思うのか。その思いに名前を付けると何になるのか。
ついに糸は断ち切られた。
お岩と伊右衛門は互いに手傷を負いながら、絆を結び直し抱き締めあう。
-----
という感じでしょうか。
キーワードは嫉妬。
そして毒と知りながら薬を渡したくう。
ちなみに少女Aとくうは武田さんが2役してます。
ついでに現代組と江戸組で2役してるのは以下の役者さんです。順不同敬称略。
少女A/くう 武田玲奈
少年Y/一学 北村諒
柵端/お岩 田中良子
只野/浅野 阿部貴英
田宮/新見 平野雅史
入江/直助 竹内諒太
これに意味があるのかは微妙。
少女Aとくうだけは、それが良くない事であると気づきつつも大人の顔色を読んで行動してしまったという点でとてもイコールだと思います。
こちらで一番疑問に思ったのはかたつむりのくだり。
伊右衛門はくうから「かたつむり」「もうすぐ出そうだから」と言われます。
で、ラスト近くに「でてみりゃ情けないナメクジだ」みたいな台詞があるのですが「素直な感情が出そう」で、出してみたら思ったよりなんでもない事だったというか、自分の弱さを受け入れた台詞なのかも。
あと大石の「お前を切らせるわけにはいかん。……俺の醜い心だ」のセリフの前後をよく覚えていなくて今更すごく気になる。
それと瑠璃子が最後四谷怪談について言及する台詞も思い出せなくてもやっとする。
「この壁の向こうはそうありたかった世界が」みたいな感じだったと思うんだけど。
容疑者の影響下から脱した少女と未だそのなかにいる瑠璃子の対比が今更ちょっと怖くなった。
「人のすることですから」
怖い場面じゃないのにこの台詞が一番ぞっとした。一番怖いのは人間ってことなんだろうか?
「人をおもいますか。人におもわれますか。人をおもいつづけますか。答えはでません。でも私は私をおもうのです」
おもいおもわれる事は全て幸せなわけではなく、時に悲劇を生み、物語を紡ぐんだろうと思う。
狂愛・偏愛・盲愛も愛っちゃ愛なんだよなぁ。
柵端って何者なんだろう?
少女の心の壁であるような、解離してしまった感情であるような気はするんだけど。でも良心ではなくて、エゴ(自我)なのかも。
自分の醜い心を見つめるのは勇気がいる。でもどんなに怖くても自分自身でどうにかするしかない。
そこから「自分は自分でしか…」に繋がるのかな。
ついでにWikiの「自我」の哲学における自我の項目がかなり興味深いです。
わりとどうでもいい話で、容疑者が下から出てきて「忘れるな!自分は自分でしか救えないんだよ」(私の記憶だと「忘れんな!てめえはてめえでしか救えないんだよ」だったような?)というシーン、Aブロックからはどう見えてたんでしょ?
サイドから見ると出るタイミングをうかがってるのもじわじわ戻るのも丸見えなのでちょっと愉快な光景になっちゃってました(笑)
でも西田さんがどんな表情でその台詞を言ったのか観たかったなあ。
長くなったので更なる思い込みで書いておきたいことは別記事にて。
というキャッチコピーがついた公演で公式サイトはhttp://officeendless.com/sp/yotsuya/ 。
2012年7月に上演された同名公演の再演でした。
ただこれがどうにも反応に困る物語で、1回目はもやもやして、反芻してから2回目を観たところで降ってきたのでつらつらと書き綴ってみます。
まあ、私にとって西田作品は多かれ少なかれいつも感想がはっきり出せなくてもやもやするのですが(苦笑)
「考えるな感じろ系」の舞台だなと思うので、矛盾してるところとかつつきはじめるときりがなくて混乱するのかも。
あと、人がたくさん死ぬ舞台なのでそのインパクトで細かいことが吹っ飛んでる感じもします。
ネタバレは一切考慮せず、あまり文章を整形していませんのであしからず。
しかも無駄に長いです(笑)
ちなみにこの感想のもとになった観劇日は5/4昼(A)Dエリア(舞台の後ろ側)と5/6夜BCエリア(B)(舞台サイド)です。
とりあえずミーハーな感想から。
良子さんがとても素敵。お岩の儚い感じと柵瑞(「さくはな」と読むそうです。スタッフさんに確認しました。ある台詞にかけてると聞きましたがなんだろ?「咲く花」かと思ったんだけど)のたたきつけるようなトーンのギャップがとても好き。
洋二郎さん、南君、谷口さんがぐっとトーンを落として話すシーンにドキドキしました。特に洋二郎さんのこういうトーン好きだなぁ。
アンドレのメンバーさんの殺陣がカッコいいのはいつものこととして、南くんときたむーの殺陣もカッコよかった!
今回アンサンブルさんがいないので、そのシーンに出てこない男性メンバーが殺陣衆をしてるのですが、お面被ってるので視界狭くて大変そう。しかも四方囲みだし。
一内さん、私は今まで観たことない感じでよてもよかったです。舞台が近かったので細かい表情までよく見えて引き込まれました。
武田さん、17歳でよくこれにトライしたなと尊敬します。しかも初舞台(゜ロ゜)
初演を観劇した方でトラウマになったって人も多いようですが、演じる側はもっと精神的にきつそうな作品なのにすごい。
Dに近いCブロックだったのでカテコがきたむーの近くで、うわー綺麗な人だなーとちょっと感動しました(笑)
大石役と隆役がWキャストだったわけですが、南くんと谷口さん、一内さんと桜田さんの対比がとても素敵で両方観られてよかったです。
以下作品の内容に触れています。作品の内容上、犯罪等の内容にも触れますのでご注意を。
また、記憶違いな内容があったらツッコミお願いします。
まず、物語の基本は事件が発覚してのちの少女Aにあるように思います。
「事件」は北九州監禁殺害事件を下敷きにしていますが、イコールではありません。
実際の事件についてはWiki等でいくらでも情報が見つかりますが、かなり凄まじいので自己責任で。
簡単に言うと、一人の男が妻とその家族及び仕事繋がりの父子家庭を虐待・洗脳し、互いを殺しあわせたという事件です。
で、クロスオーバーしてかぶってくるのが四谷怪談と忠臣蔵。
なんでこの2つがセットかというと、
--------------------
中村座における初演時は、時代物の『仮名手本忠臣蔵』と合わせて2日にわたって上演された。
--------------------
ということからなのかもしれません。
(Wiki(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E8%B0%B7%E6%80%AA%E8%AB%87)から引用)
注意しておきたいのは、「事件」もそうですが実際の鶴屋南北が書いた物語とは違うということです。
四谷怪談にでてくるのは「お岩」「伊右衛門」、忠臣蔵にでてくるのは「大石」「浅野」「堀部」で、お岩を取り合うような話では全くありません。
余談ですが、私は播州皿屋敷とごっちゃになってました。
いろいろあって容貌が醜くなり夫に疎まれ殺害されたのち復讐に走ったのがお岩さんで、お皿を壊される(盗まれる)等して処罰され夜な夜な井戸から皿を数える声が聞こえるのがお菊さん(皿屋敷)でした(--;
話を戻すと、事情聴取を受けている少女Aが思い出す感じで、事件の再現(回想?)がはいります。
事件の概要は以下のような感じ。
----------
7人の男女が監禁、殺害された。
しかし、容疑者は自ら手をくださず、被害者の見栄や罪悪感に漬け込んで言葉巧みに操り、相互不信を煽り立てて、被害者同士を虐待、殺人、死体損壊及び遺棄の実行者に仕立てあげたうえでの事だった。
度重なる異常事態の中で正常な判断を失っていく被害者たち。
理不尽な理由で父の死亡の一因だとなじられる少女A、父である容疑者の意のままに動く少年Y、夫である容疑者の支配下にある瑠璃子、過去を夫に知られる事を恐れる理恵、理恵に対する疑心を吹き込まれる孝、体面が大事でそのためならば良心を押さえ込んでしまう姉妹の両親。
少女Aはその連鎖の片隅にいて、容疑者に服従あるいは、積極的に協力する事で命を繋ぎ、最終的に生き残った。
----------
ルービックキューブと花びらと赤い紐が謎。
赤い紐は血とか関係だと思う。
花びらは一番最初は黄色とオレンジ(たぶん金木犀)の四角いもの、作中はピンクの花びら、ラストに上から降るのは銀色で、刀のきらめきか雪なのかなと思った。
ルービックキューブは洗脳の象徴かも。
家族に渡されるし、瑠璃子が戻ってきた後に容疑者が少女Aに優しくするシーン(「お前もう風呂場で寝なくていいぞ。あいつが最下位だ」とかのシーン)でも渡されているし、最後は粉々になるし。
余談ですが、天井からつるされた枠に入っているマネキンのオブジェは7つ、殺されたのは7人、装置の箱の中には赤or濃紫?の花と骨らしきもの(両端にふくらみがあったことからただの棒ではないと判断)が入っていたように思います。
あと、背中に鎖とおぼしきものがついてたんだけど、容疑者の背中にもしっかりあった。
妹夫婦が容疑者宅にやってきて酒盛りをするシーンで、宴会芸やらお酒を飲むことを強要されるシーンがあるのですが、そこがかなり気持ち悪い。
要はパワハラされてるわけで実際遭遇したら笑ってみてちゃいけないのに、笑って見てる自分たちが我に返ると気持ち悪い。
他にも虐待とか殺害とかえぐいシーンで、結構平然と見ている自分の向かいの観客が怖いとも感じました。
というか、私は声に出さずとも観劇中百面相をしてしまうタイプなので、ほかの人はそんなに表情に出さないのかとちょっと驚きました。
どのタイミングか忘れちゃいましたが、容疑者が「お前たちも共犯だ」というところでわざわざ四方の客席を指していたのも印象的。
四方囲みの客席にすることで、強制的に観客を物語の中に組み込もうとしたのかもしれない。
理恵が隆に絞殺されて、隆もそのまま死んでしまうシーン、Wキャストのお二人で雰囲気が違ってみえた。
どちらも完全に容疑者の支配下なんだけど、一内さんVerはコントロールを失っていて全てが終わってから我にかえる感じ、桜田さんVerはもうそれしかないと信じ込んでいて結果が分かっていて実行したような感じがした。
(ふらふらと舞台を一周して理恵のところで力尽きるあたりのリアクションの印象)
それにしてもこのシーン、理恵役の田代さん?が凄い。
カッと目を見開いて顎をあげて客席を見下ろす感じなんだけど、確かにこれはトラウマになるなぁという迫真の演技でした。
一方、四谷怪談+忠臣蔵は、お岩という女を中心とした愛憎劇と言えると思います。
こちらもどうにか無理矢理まとめてみると
-----
互いにコンプレックスを持ちながら成長してきた伊右衛門と一学。
一学は伊右衛門の妻となったお岩を想っており、彼もそれを知っている。
また、お岩は浅野内匠頭の家臣大石と繋がりを持っている。
実は大石の娘くうは妻りくの娘ではなくお岩の娘なのだ。
一学は浅野に仕える事となり伊右衛門は己の出世のために策を弄する。
もつれた糸は悲劇を生む。
伊右衛門とりくはくうをお岩と大石の子だと信じて、歪んだ愛人関係になる。
そしてお岩と出会い、仲良くなったくうに薬と言って毒を持たせる。
くうから差し出された薬を素直に飲もうとするお岩。
そこに伊右衛門がやってくる。
くうにそれを飲んで見るように言うが、拒否され激昂して彼女に掴みかかる。
そして無理矢理飲ませようとしたところを、子飼の手下に斬られてしまう。
そこへやってきたりくは愛人関係をほのめかし、話が違う、上役の娘をいたぶるとはと伊右衛門を糾弾し、彼の所業を黙っていて欲しければお岩にそれを飲むよう促す。
「お心遣い感謝します」とくうに告げて毒を飲み干してしまうお岩。
醜くなったお岩をみて逃げ出してしまう伊右衛門。
一人残され倒れ伏すお岩は、駆けつけた一学に殺してくれと懇願する。
さらに複雑に糸はもつれてしまう。
吉良を討とうとする浅野、殿の意向に従い仇討ちをして華々しく散りたい堀部、連座で家臣一同を死なせたくない大石、実の子でないと知りつつくうを守るりく、お岩を助け人を斬る覚悟をした一学、お岩の生存を知った事で気持ちに変化を起こした伊右衛門。
くうは浅野とお岩の間の子供で、大石は浅野を殺したくて、堀部は伊右衛門を苦々しく思っていて、お岩を想う伊右衛門。
誰が何を思うのか、誰が誰を思うのか。その思いに名前を付けると何になるのか。
ついに糸は断ち切られた。
お岩と伊右衛門は互いに手傷を負いながら、絆を結び直し抱き締めあう。
-----
という感じでしょうか。
キーワードは嫉妬。
そして毒と知りながら薬を渡したくう。
ちなみに少女Aとくうは武田さんが2役してます。
ついでに現代組と江戸組で2役してるのは以下の役者さんです。順不同敬称略。
少女A/くう 武田玲奈
少年Y/一学 北村諒
柵端/お岩 田中良子
只野/浅野 阿部貴英
田宮/新見 平野雅史
入江/直助 竹内諒太
これに意味があるのかは微妙。
少女Aとくうだけは、それが良くない事であると気づきつつも大人の顔色を読んで行動してしまったという点でとてもイコールだと思います。
こちらで一番疑問に思ったのはかたつむりのくだり。
伊右衛門はくうから「かたつむり」「もうすぐ出そうだから」と言われます。
で、ラスト近くに「でてみりゃ情けないナメクジだ」みたいな台詞があるのですが「素直な感情が出そう」で、出してみたら思ったよりなんでもない事だったというか、自分の弱さを受け入れた台詞なのかも。
あと大石の「お前を切らせるわけにはいかん。……俺の醜い心だ」のセリフの前後をよく覚えていなくて今更すごく気になる。
それと瑠璃子が最後四谷怪談について言及する台詞も思い出せなくてもやっとする。
「この壁の向こうはそうありたかった世界が」みたいな感じだったと思うんだけど。
容疑者の影響下から脱した少女と未だそのなかにいる瑠璃子の対比が今更ちょっと怖くなった。
「人のすることですから」
怖い場面じゃないのにこの台詞が一番ぞっとした。一番怖いのは人間ってことなんだろうか?
「人をおもいますか。人におもわれますか。人をおもいつづけますか。答えはでません。でも私は私をおもうのです」
おもいおもわれる事は全て幸せなわけではなく、時に悲劇を生み、物語を紡ぐんだろうと思う。
狂愛・偏愛・盲愛も愛っちゃ愛なんだよなぁ。
柵端って何者なんだろう?
少女の心の壁であるような、解離してしまった感情であるような気はするんだけど。でも良心ではなくて、エゴ(自我)なのかも。
自分の醜い心を見つめるのは勇気がいる。でもどんなに怖くても自分自身でどうにかするしかない。
そこから「自分は自分でしか…」に繋がるのかな。
ついでにWikiの「自我」の哲学における自我の項目がかなり興味深いです。
わりとどうでもいい話で、容疑者が下から出てきて「忘れるな!自分は自分でしか救えないんだよ」(私の記憶だと「忘れんな!てめえはてめえでしか救えないんだよ」だったような?)というシーン、Aブロックからはどう見えてたんでしょ?
サイドから見ると出るタイミングをうかがってるのもじわじわ戻るのも丸見えなのでちょっと愉快な光景になっちゃってました(笑)
でも西田さんがどんな表情でその台詞を言ったのか観たかったなあ。
長くなったので更なる思い込みで書いておきたいことは別記事にて。