深くて引力はあるけど、久々に疲れてキツい舞台でした。

カスパーという、人間社会から隔離されて育てられ、数年後には殺されてしまった男の実話を下敷きにした物語ですが、明確なストーリーはありませんでした。
登場人物もカスパー以外はよくわからない感じで、たぶんこれは「カスパーと外界の物語」ではなく、「カスパーの精神世界の物語」なんじゃないかと思いました。
また「人は人として生まれるのではなく、人になるのだ」とか、「単語としての『言葉』と言語としての『言葉』。言葉に対するある種の強迫観念」みたいなものも感じました。

最近よく観ているものと中身も客層も違いました。なので、小劇場特有ともいえる開演前の静かな期待に満ちた時間などは満喫できた気がします。

ミーハーな事を言えば、相変わらず殿(我が家では保村さんをそう呼ぶのです)は凄い人でした。
彼の芝居はいつもどこか狂気を孕んだような圧倒的な熱を感じるのですが、その魅力が遺憾なく発揮されていました。
それから、カスパーの舘形さんの動きとか、カスパーズの存在感の強弱とかも好きです。

笑えて泣けるエンターテイメント系の舞台をラノベとするなら、純文学というか日本名作文学全集みたいな感じだと思ってもらうとイメージしやすいかも。
積極的にお勧めはしませんが、フライヤーなどを観て感覚が合いそうなら一見の価値はあると思います。