※※※本編の内容・ネタバレを含んでいます。ご注意ください。※※※





みなさまこんばんは♪
満です✿




今回はホラーノベルゲーム『歪みの国のアリス~Encore~の感想記事です。
私が遊んだのは無料アプリ版で、一日一回物語を読むための"緋色の羽根"を4枚受け取って、少しずつ読み進めていきました。
(一気に読みたい方には課金制度もあります。)
ちなみに本編は全8章でした。










たまに忙しくて読めない日も込みで、大体20日間くらいでクリアしました。
これ無料で楽しんじゃっていいのかなってくらい、面白かった!
公式サイトなどご覧いただければ分かる通り、グラフィックは完全にホラーなのでかなり怖いものを想像していましたが、特に一章から二章はブラックジョークあり、コミカルありの作風で意外でした。
良い意味で気軽に楽しめる世界観だったと思う。
二章終わりで顔全体を包帯で覆った女性(ミイラマダムと呼びます)が焼け焦げたロボット犬を従えながら、主人公・アリスを襲う場面から一気に怖くなった。
すっかり油断してた…!
それまでが現実世界と不思議の国が混じった世界でアリスを食べようとする(って、殺そうとしてるってことだよね?)不思議の国の住人たちにちょっと危機感を覚えながらも、明るくノリの良いアリスのおかげであまり重たい雰囲気になっていなかったから、それと対象的なミイラのマダムが現れることで恐怖感が増した。

そもそもアリス(本名・亜梨子)は普通の女子高生で、学校で居眠りして起きたら放課後、目の前には口裂け女のような大口のチェシャ猫が立っていて、現実のようで現実ではない世界から脱出することになったんです。
距離感近くて、少し怖い見た目のチェシャ猫は実はアリスの味方で、アリスが現実世界へ帰る鍵となるシロウサギを探すことをずっと手伝ってくれて、もちろん最後まで裏切ることなく、アリスがピンチになった時には必ず助けてくれる非常に頼もしいパートナーだった。
チェシャ猫イケメンだと思う。
人気投票あったら彼が一位に違いない。

そして私のお気に入りキャラは、第5章で登場する女王様。
見た目はピンクの甘いドレスに柔らかい金髪のウェーブヘアで、女王様というよりはお姫様のようか可愛らしさがある。
女王様は首なしの死体だらけのお城に住む首切りが大好きな人…、設定書いただけでも彼女がヤバヤバなのが伝わるでしょうか。
女王様はアリスに優しく話しかけてきて、アリス大好き!という気持ち全開で接してくれるけど、やっぱり首を切りたがる。
彼女にとって首を切り落とすことは愛情表現なのかもしれない。
なんでだろう、元々所有欲が強いんだろうか。
それとも寂しがり屋?
首を傍らに置くことでずーっと一緒にいられるから?
クレイジーかつ可憐で、色々と考察したくなる女王様です。

どんどんホラー味が強くなりつつも、やがてアリスが帰りたがっている現実世界の現状が分かってくる。
アリスは幼い頃に火事に遭い、そのとき父親が自分を庇って焼死してしまった辛い過去があり、さらにそれをきっかけに母親から虐待を受けるようになり、母親の新しい恋人と暮らし始めてからも孤独だったことが判明。
家に居場所がないって辛すぎるし、何より実の母親から愛情を向けてもらえない、冷たく接されるって自分自身への否定になっていくよね。
不思議の国とその住人は、アリスが生み出した精神世界だったのも納得してしまう。
住人たちはあるときから"アリスが生み出した者"から一歩進んで自我を持つようになったらしい。
彼ら彼女らがアリスを慕い、かつ殺そうとしてくる(一部例外あるけど)のは、アリスの自己愛と自己嫌悪がいっしょくたになったものの表れだったのか?

母親とその恋人が血塗れになっているのを目撃したアリスは母親から殺されそうになり、母親から殺される前に自ら腹にカッターを突き刺し意識不明に、深い精神世界=不思議の国へ迷い込んでいた。
何度も言うけどこんな状況じゃ、そりゃ精神世界に避難したくもなるよね…。
不思議の国の住人は、元はアリスの空想から生まれたものですからアリスの一部でもありアリスを生きさせようと彼女の心を守るために不思議の国に留めようとしていたんだとラスト付近では様々なことが明かされて非常に引き込まれました。

ただ母親のほうはアリスを真っ直ぐに愛せないことを悩んでいて、最後に悔やんで自ら死を選んでいたという切なすぎる事実が判明するんだけど、残る問題は母親の恋人だと思う。
その言動から、恋人が母親ではなくアリスを恋愛対象として見ているかつ、それが歪んだものであることがじわっと伝わってくる。
母親がなぜ恋人を刺したのか、この辺りは詳しく説明はされていないけど、恋人は生き残っています。
恐らく恋人がアリスに向ける歪みに気づいた母親が恋人を刺したのでは。
生き残った恋人はアリスと暮らそうとしていてヒヤヒヤしたけど、疎遠になっていた優しそうな叔父と暮らせることになったみたいでよかった。

アリスが追いかけ続けたシロウサギは恐らく亡くなった父親なのかな。
昔のアリスにとって父親の記憶は、思い出したくない思い出さないほうがいいものでした。
だからこそ、住人たちもシロウサギを追いかけないほうがいいと渋っていたんでしょう。
そしてチェシャ猫は…、チェシャ猫も父親のような気がするんだけどそこはどうなんだろう
フードの下が気になります。

不思議の国の住人たちは、基本的には各章ごとにゲスト出演のような形で登場するキャラが多かったので、全員が一堂に会するところも見てみたいな。

ホラーだけでなくユーモアもあり、ばっちりホラーをキメてくれる展開もあり、できれば見つめたくなかった自分自身の仄暗い過去と向き合い、乗り越えていくアリスを応援したくなる良作でした。
気になる方はぜひ!