ゴッホに持っていたイメージが変わった。 | 日記とか、雑感とか

ゴッホに持っていたイメージが変わった。

今年はゴッホが死んで120年にあたるらしい。
「没後120年ゴッホ展」を今東京でしているのに合わせてか
昨日、ゴッホを取り上げたテレビ番組をしていた。

ゴッホというと、
世間に評価されたのは死んでからだとか、
ゴーギャンともめて自分の耳を切り、
精神病院に入院して銃自殺したとかのエピソードが有名で、
精神的に病み、不遇な人生を送った
どちらかと言えば暗いイメージを持っていた。

彼の描いた絵は、
作品から出る力が強すぎて(情念がこもっている感じ)、
とても魅力的ではあるけれど、
日常で頻繁に見たいものではないなと思ってた。

その番組での解説を聴き、
自分の中でのイメージがかなり変わった。
自分が持っていたゴッホの暗いイメージに
明るい陽が差した感じだ。

以下番組の内容を短くまとめてみる。



もともと聖職者を目指していた(そして挫折した)ゴッホは
絵画を宗教的な表現手段として用いろうとする。
そのお手本としたのが、
神の崇高さを農民の働く姿で表現し続けたミレー。
(「落穂拾い」や「種まく人」が有名)

とにかくミレーの作品の模写をしまくったらしい。
そして、農民の姿を描いている。
晩年、精神病院に入ってた時も
再びミレーの絵の模写をしていたというから、
ゴッホの中でミレーは重要な位置を占めてたのだろう。


農民
Original Update by Monica Arellano-Ongpin

農民
Original Update by ConspiracyofHappiness


その後、パリに出て多くの画家達と交流、
色彩を点で描く印象派のモネ達と出会う。
そして、自分の作品の中にその技法を取り入れる。

しかしゴッホは、技法をそのまま真似するのではなく、
力強い線で構成するオリジナルな技法へ発展させた。

印象派の作品はフワッとして洗練されたイメージがあるが、
ゴッホの作品は力強く迫力がある。
絵で表現したいものが、全然違うのがやはり出るのであろう。


ゴッホ自画像
Original Update by artanonymous


その後、日本の浮世絵に出会う。
色を抑え、平面的な構成を取り入れるようになった。
日本の絵師達に憧れの念を持っていたらしい。
模写も残っている。(これは今回始めて知った)


↓ 浮世絵の模写。漢字まで模写している。

ゴッホの浮世絵模写
Original Update by Minke Wagenaar


↓ ミレーの「種まく人」を、浮世絵の技法を取り入れて表現した作品。

ゴッホ 種まく人
Original Update by Pachango



感受性や探究心がとても強かったのと、
現在の自分に満足してなかったのもあるのかもしれない。
まさに「努力の人」と言うのにふさわしい。

いろんな技法に影響され、
次々と実践していく過程で天才が現れたのだろう。
もしも途中で世間に評価されていたら、
また変わっていたのかもしれない。

でもきっと、
先駆者にあごがれ、ひたむきに絵に没頭し、
様々な技法を作品に取り入れながら
自分の作品のなかで昇華すべく
夢中になって筆を動かしているゴッホは、
きっと楽しくてしょうがなかったんだと思う。

夢や不安を当たり前に抱えた、
一人の若者だったんだなと思い、
以前よりも親近感を感じた。

そして、自分ももっと努力しなければと思った。



ゴッホ展 - 東京・福岡・名古屋
http://www.gogh-ten.jp/

関西に来ない・・・残念。