アート・ブレイキーと相性の良いピアニストの一人に、
セロニアス・モンクが挙げられます。
モンクの最初のレコーディングも、
ドラマーはブレイキーでしたし、
ラストレコーディングのときのドラマーもブレイキーでした。
モンクが弾くピアノには特異なタイム感覚があります。
なんでここに?というタイミングでピアノの和音を発したり、
独特でヘンテコリンなメロディを奏でたりもするので、
ドラムスもあまりトリッキーなことをやってしまうと、
なにがなんだかわからない演奏になってしまう危険性もあります。
つまり、オーソドックスでステディにリズムを刻みつつ、なおかつグルーヴを維持できるドラマーこそが、モンクのピアノを支える資格があるのです。
となると、やはりブレイキーが適任なのです。
オーソドックスでステディにリズムを刻みつつ、
なおかつグルーヴを維持。
これ、カンタンなようでいて、
じつは一番難しいことかもしれません。
しかし、ブレイキーのドラムはシンプルなバッキングながらも、常にリズムが脈打っています。
柔軟かつ強靭なバネがリズムに内包されています。
だから、共演者をのせるのがうまいうえに、共演者の一番良い持ち味を殺さずに生き生きとしたリズムを提供するのです。
そうなると、モンクに最適なピアニストであることも頷けますね。
ブレイキー、やっぱり凄いです。