私のドイツワインについてのたわごと今昔。
ドイツワインについて、少し、、、、。お時間をいただければm(__)m。
生産地とか、等級とか、呼称とか、お堅いお話は、今日はなしです。
ドイツワインは甘いというイメージが付きまとっていたことに関して、、、。
マドンナの功罪
マドンナといえばサントリー社が輸入するドイツワインで、発売は1972年というから既に40年以上のロングセラーを誇ります。若い世代の方はご存じないでしょうが、当時は輸入ワインなどというものは東京のデパートあたりでしか見かけることはなく、このマドンナ(注1)の登場は一世を風靡したものでした。
参考までに当時のサントリーワインカタログの写真を添付します。
これは当時サントリーのワイン頒布会があって、その付録についてきたものです。
当時、テレビCMもかなり放映されていたので、日本人が初めて飲んだドイツワインのほとんどは、このマドンナだったと思います。このワインは正式には『リープフラウミルヒ』というジャンルのドイツ・ファンケンベルク社が生産するワインで、ちなみに「リープフラウミルヒ」は、現在、日本で500~800円位で販売されているワインです。
日本にドイツワインを広めたという点でマドンナの功績は絶大なものであったことは、誰もが認めるところでしょう。なにせ、日本中の酒屋に輸入ワインといえば、マドンナくらいしかなかった時代が10年ほど続いたのですから。しかし、問題はその後です。このマドンナはラインヘッセン産の4種類の葡萄をブレンドしたワインで、ほのかな甘口と書いてありますが、けっこう甘いんです。フルーティで嫌味がなくて飲みやすい。だけど、複雑味などなく、ただ甘い。そう、本当の入門者向けのドイツワインなのです。そうして、日本人の舌に「ドイツワイン=マドンナ」、「ドイツワイン=甘ったるい」が刷り込まれてしまったと思います。当時、日本のワイン国別輸入量で2位あたりを誇っていたドイツワインは現在7位あたりまで落ち込んでいます。
もうひとつは、1985年の不凍液混入事件が騒がれ、ドイツ甘口白ワインの日本でのステータスが失墜し、ドイツワインの輸入量はそれ以来低迷し続けているのがひとつの現状です。
もちろん、時代の変化、嗜好の変化はあると思いますが、私はマドンナの「甘ったるい」が、ドイツワインのバラエティに富んだ味の世界への選択肢を狭めてしまっという気がしてなりません。なにせ、私も最初に飲んだ輸入ワインはマドンナで、20~30年前に飲んだ「甘ったるさ」を未だに覚えているのですから...。
かのロバート・パーカーJr.は彼の著『パーカーズ・ワイン・バイヤーズ・ガイド』の中で、「リープフラウミルヒ」をこう評価しています。「甘ったるいブドウの飲み物というだけで、良質なドイツワインとの差は、カリフォルニアのワインクーラーとアメリカの真面目な生産者が造ったワインとの差と同じである。」と吐き捨てています。
又ワインは食中酒という性格もあり、フレンチブームの後、イタリア料理が来て、
その後にスペインバルもはやり、、、。などなど、、。
ドイツ料理はいまだに、ジャガイモとソーセージぐらいしか浮かばない人もたくさんでしょう。
料理と共にそのワイン国のワインが広がるのも、むべなるかなです。
そして、ドイツ本国のマーケティング戦略が、フランス、イタリア、カリフォルニア、オーストラリア、に比べて、この間何度も日本でワインブームが起こりながら、それに乗り遅れたというのも、
ドイツワインを一部のマニアックなものに押し込めてしまった原因でしょう。
さてでは、ドイツワインの現状はといいますと、、、、。
ドイツは世界でも稀なワインの国かもしれません。
世界中で赤ワインがもてはやされている現在において白ワインが生産量の半数以上を占める独特のスタイルを堅持する白ワイン王国。
これにはドイツが葡萄栽培の最北限という地理的要因が大きく影響していますが、すでに赤ワインが生産量の4割近くにせまり時代の流れに押されつつあるのも事実です。
日本人の多くはドイツワインと聞いて、イメージするのは「甘口の白ワイン」だと思いますが、実はドイツで生産されているワインの多く(約60%)は「辛口」で、その大部分が国内消費され、国外で見かけることは多くありません。
15年程前は、ドイツの辛口白ワインは一部を除いて、平坦な味で魅力に欠けるとワインと言われましたが、フランスブルゴーニュを規範とした、畑の格付けを基にした、ワインのクラスわけ等を取り入れ、近年は品質がかなり向上し、スポットライトが当たりつつあると言えます。
そして、今日本人の舌に最もフィットするのが、ドイツワインかも知れません。
ドイツワインの魅力は、味そのものを直感的に楽しめること、
豊かな情緒あふるる果樹風味と旨みと酸味のバランス。
そして、料理に寄り添う素直さだけではなく、
ワインだけでも十分楽しめる点で、
素直に楽しめるワインだといえます。
そう、もっと日本人に愛されてしかるべきなのは、
ドイツワインなのです。
皆さんにも、もっとドイツワインの良さを味わっていただきたいです。
長文ご拝読ありがとうございました。
それでは皆さん、ツム・ボール。(乾杯)
(注1)Wormsにある聖母教会のLiebfrauenstift-Kirchenstückという畑からできる、
葡萄で作ったワインは、非常に質が高く、別物。
ドイツワインについて、少し、、、、。お時間をいただければm(__)m。
生産地とか、等級とか、呼称とか、お堅いお話は、今日はなしです。
ドイツワインは甘いというイメージが付きまとっていたことに関して、、、。
マドンナの功罪
マドンナといえばサントリー社が輸入するドイツワインで、発売は1972年というから既に40年以上のロングセラーを誇ります。若い世代の方はご存じないでしょうが、当時は輸入ワインなどというものは東京のデパートあたりでしか見かけることはなく、このマドンナ(注1)の登場は一世を風靡したものでした。
参考までに当時のサントリーワインカタログの写真を添付します。
これは当時サントリーのワイン頒布会があって、その付録についてきたものです。
当時、テレビCMもかなり放映されていたので、日本人が初めて飲んだドイツワインのほとんどは、このマドンナだったと思います。このワインは正式には『リープフラウミルヒ』というジャンルのドイツ・ファンケンベルク社が生産するワインで、ちなみに「リープフラウミルヒ」は、現在、日本で500~800円位で販売されているワインです。
日本にドイツワインを広めたという点でマドンナの功績は絶大なものであったことは、誰もが認めるところでしょう。なにせ、日本中の酒屋に輸入ワインといえば、マドンナくらいしかなかった時代が10年ほど続いたのですから。しかし、問題はその後です。このマドンナはラインヘッセン産の4種類の葡萄をブレンドしたワインで、ほのかな甘口と書いてありますが、けっこう甘いんです。フルーティで嫌味がなくて飲みやすい。だけど、複雑味などなく、ただ甘い。そう、本当の入門者向けのドイツワインなのです。そうして、日本人の舌に「ドイツワイン=マドンナ」、「ドイツワイン=甘ったるい」が刷り込まれてしまったと思います。当時、日本のワイン国別輸入量で2位あたりを誇っていたドイツワインは現在7位あたりまで落ち込んでいます。
もうひとつは、1985年の不凍液混入事件が騒がれ、ドイツ甘口白ワインの日本でのステータスが失墜し、ドイツワインの輸入量はそれ以来低迷し続けているのがひとつの現状です。
もちろん、時代の変化、嗜好の変化はあると思いますが、私はマドンナの「甘ったるい」が、ドイツワインのバラエティに富んだ味の世界への選択肢を狭めてしまっという気がしてなりません。なにせ、私も最初に飲んだ輸入ワインはマドンナで、20~30年前に飲んだ「甘ったるさ」を未だに覚えているのですから...。
かのロバート・パーカーJr.は彼の著『パーカーズ・ワイン・バイヤーズ・ガイド』の中で、「リープフラウミルヒ」をこう評価しています。「甘ったるいブドウの飲み物というだけで、良質なドイツワインとの差は、カリフォルニアのワインクーラーとアメリカの真面目な生産者が造ったワインとの差と同じである。」と吐き捨てています。
又ワインは食中酒という性格もあり、フレンチブームの後、イタリア料理が来て、
その後にスペインバルもはやり、、、。などなど、、。
ドイツ料理はいまだに、ジャガイモとソーセージぐらいしか浮かばない人もたくさんでしょう。
料理と共にそのワイン国のワインが広がるのも、むべなるかなです。
そして、ドイツ本国のマーケティング戦略が、フランス、イタリア、カリフォルニア、オーストラリア、に比べて、この間何度も日本でワインブームが起こりながら、それに乗り遅れたというのも、
ドイツワインを一部のマニアックなものに押し込めてしまった原因でしょう。
さてでは、ドイツワインの現状はといいますと、、、、。
ドイツは世界でも稀なワインの国かもしれません。
世界中で赤ワインがもてはやされている現在において白ワインが生産量の半数以上を占める独特のスタイルを堅持する白ワイン王国。
これにはドイツが葡萄栽培の最北限という地理的要因が大きく影響していますが、すでに赤ワインが生産量の4割近くにせまり時代の流れに押されつつあるのも事実です。
日本人の多くはドイツワインと聞いて、イメージするのは「甘口の白ワイン」だと思いますが、実はドイツで生産されているワインの多く(約60%)は「辛口」で、その大部分が国内消費され、国外で見かけることは多くありません。
15年程前は、ドイツの辛口白ワインは一部を除いて、平坦な味で魅力に欠けるとワインと言われましたが、フランスブルゴーニュを規範とした、畑の格付けを基にした、ワインのクラスわけ等を取り入れ、近年は品質がかなり向上し、スポットライトが当たりつつあると言えます。
そして、今日本人の舌に最もフィットするのが、ドイツワインかも知れません。
ドイツワインの魅力は、味そのものを直感的に楽しめること、
豊かな情緒あふるる果樹風味と旨みと酸味のバランス。
そして、料理に寄り添う素直さだけではなく、
ワインだけでも十分楽しめる点で、
素直に楽しめるワインだといえます。
そう、もっと日本人に愛されてしかるべきなのは、
ドイツワインなのです。
皆さんにも、もっとドイツワインの良さを味わっていただきたいです。
長文ご拝読ありがとうございました。
それでは皆さん、ツム・ボール。(乾杯)
(注1)Wormsにある聖母教会のLiebfrauenstift-Kirchenstückという畑からできる、
葡萄で作ったワインは、非常に質が高く、別物。