その昔「決してひとりでは見ないでください…」のコピーで一世を風靡した、イタリアンホラーのリメイク版。本作はなんと『君の名前で僕を呼んで』が話題になったルカ・グァダニーノが監督 。そして音楽がどういうわけかレディオ・ヘッドのトム・ヨーク。これはまぁ観るでしょう。ストーリーは、原作と大体同じ。べルリンにある世界的な名門バレエ学校に入るためにアメリカからやってきたヒロインが、才能を認められて急速に頭角を現す一方で、次々に周囲で起きる不可解な事件に巻き込まれながら、魔女に支配された舞踊団の闇の部分に近づいて…といったお話。
しかし、思ってたのとだいぶ違ったー。
前半は当時のドイツの社会情勢を丁寧に描いているのが冗長な感じでちょっと寝そうになってましたが、後半から終盤にかけての修羅場はもう、血しぶきドバー!内臓ぶしゃー!で 目を覆う阿鼻叫喚の大惨劇でした。ちなみに私はまったく怖くなかったですけど。むしろ、色彩や構図がかなり緻密に計算されているなぁ、と。廃墟のホテルを使ったという美術セットもお洒落。あと、歴史・宗教・芸術系のすごい知識が詰め込まれてる感じで、むしろそこにクラクラきましたね。
原作ではほとんど踊るシーンがなかった気がするけど、今回はコンテンポラリー・ダンスのアカデミーという設定で、先生役のティルダ・スウィントンなんてほぼピナ・バウシュだし、もうみんな踊る踊る。暗黒舞踏なダンスのシーンはすごく良かった。このダンスが、実は終盤の修羅場で悪魔の儀式につながっていくという展開が、また良かった。なので個人的には「ホラー映画のフォーマットを使った、前衛アートな映像作品」を観ている感覚で面白かったです。
トム・ヨークのブキミ悲しい音楽も良かったです。とにかく2時間半ぎっしりの情報量が多すぎて、思い返すことはたくさんあるけど頭の整理が追いつかないので、観られた人がいれば意見交換を。内臓ぶしゃー!ですが、よろしければ、ぜひ。
■『サスペリア』公式サイト(本予告)
https://gaga.ne.jp/suspiria/trailer/yokoku.html