image
 
週末の映画修行は『ブレードランナー2049』。朝イチの上映時間ということもあったと思うけれど 周囲はかなり白髪シニア。自分も含めて 予想以上に年齢層が高い。前作の公開が35年前なので コアなファンの年代的にはそういうことなのか。
 
観終わって 期待を裏切らない傑作。とにかくどのシーンを切り取っても絵になる映像と美術が素晴らしい。暗く陰鬱なディストピア的世界観は前作を踏襲しつつも洗練され 全編を通してアート作品のような独特の空気感は ビルヌーヴ監督の真骨頂。
 
主演ライアン・ゴズリングの名演技を筆頭に 特に女性キャストたちがそれぞれに個性的でハマリ役。抑えた会話の中で 眼や表情だけで見事に感情を伝えきる演技とカメラワークが秀逸。

 

あと演出的には 音楽というか 音響というか お尻の底から振動がズビズバ来るような「音」が凄い。不穏さと不安さを掻き立てて増幅させるような「音」の攻撃が 映画の世界から意識を離させない。自分の耳には刺激が強すぎたかも。。

 

主人公の思考に寄り添いながら物語は進み 二転三転と翻弄される事実の先に訪れる 静寂のラストシーン。レプリカントに魂はあるのか?という前作から続く問いに加えて 観客自身が レプリカントの魂にどこまで共鳴できるか?と問われているのかもしれない。

 

既に仕事にも生活にもAIがどんどん身近に入りこんで来ていて もはやSFが空想ではなくなってきた現在だから 観終えた後で この先のAIやクローン技術について 想像することや疑問が山盛りで そういう意味でも観て良かった。そして あの終わり方はさらに続編がありそう。

 

ちなみに 前作を知らない人や いわゆるハリウッド的娯楽大作を期待する人には まったく期待外れの可能性があるので要注意。