思えば社会人になって間もなくあたりのことだった。
学生時代の僕は、とにかく本を読んでることが好きで。書くことも好きで。
「なんのために読んでるの?ただ読んだ本の数を増やしていくためだけに読んでいるの?」
って、当時の担任にも聞かれたことがあったりしたんだけど、ただ文字を追いかけて、紙の本に触れることが好きで、読んだ分だけ思い浮かぶ文字の集合体を書いて、世にまた送り出す行為がただ好きだった。
(本を読んでの感想を答えよ、の、内容があまりに薄かったのか、なんのために読んでるの?読んでどう感じたかとか考えないの?みたいな感じで突っ込まれたように記憶している)
(感想を書くというのも当時からやっていたはずなんだけど。その数年後とかからだったかしらん)
で、思えば社会人になって間もなくあたりのことだった。
僕の読書量は激減して、創作で書く量も激減した。
仕事を覚えなければいけない、仕事で必要な知識を覚えないといけない、というのもあったけど、今思うとこれがなんでだったか分かるような気がしている。
「金にならない趣味は虚しい」っていうのも、正直どこかであった。あれれ作家志望のはずだったのに初心どこ行った。
ちなみに『僕が生み出すものは金にならない』とか思い込んでる時点で金にならない現実が来る。そういうことなので、『僕が生み出すものは大金を呼ぶ』とかってマインドセットに変えたほうがよき。ね?過去の自分よ。
で、それはちょっと置いといて、読書量や創作量が激減したのは、「遊んでたらいけない」「好きなことやってたらいけない」みたいな見えない制限が、少しずつかかり始めていたからだ。
正確には、かかり始めたというか、「自分でかけ始めていた」ことに気付いていなかった。
僕は結構自由人で、時間に縛られるのは苦手だ。ちょこちょこイレギュラーな用事や出勤の変更などがあると、ちょこちょこ遅刻したり、休みを勘違いしたり、近年ではMTGをすっかり忘れて休憩に入ったり、そういうことの繰り返しだった。
まあ、そこに組織の中で生きていく上でのルールとかをいろいろ言われる中で。
もちろん、秩序を保つとか、その組織を円滑に円満に回すためのハウスルールは、無いとヤバいことも分かっている。
ただ、僕の思考回路が、長年過大解釈しすぎていたのではないか、思い込みを持ち過ぎていたのではないかと気付きを得る機会が最近は増えた。
組織からは「時間は守ってね」「こういうルールのもとに動いてね」とはまあ、言われるだろう。
社会人、会社員生活では、無法地帯よりそこそこルールがあるのが居心地が良かったりする。
ただ、それは、「僕が個人が好きに動いていたらダメだ」というのとは、厳密に言うとイコールではないのだ。
あくまでも、「社内で」「仕事中に」「社内外で関わる人と」何かをするときに求められるルールなのであって、プライベートとか趣味とかライフスタイルとか、そこまでとやかく口出しされる権利も無ければ、そこまで徹底しろとは言ってないって逆にツッコまれそうな勢いなことが多いはずだ(黒そうな環境とかを除いて)
それなのになぜか、おそらく僕は新卒で勤めた会社員時代から、この「好きなことをしていたらダメだ」みたいな気持ちをどこかで引きずり続けていた。
そしてなぜこんな思考回路になってしまったのかの要因も、仮説が立ちつつある。
・苦手な仕事や環境要因が強かったから、自己否定が強かったから
新卒勤めではまさにこれ。
怒られて、人の目を気にして、ミスして、萎縮して、また怒られて、のループだった。
その後のバイト生活ではのびのびしていて、この頃が読んで書いてをすごくできていたように感じている。
さらに次に10年勤めた会社では、好きな仕事であってもひたすら長時間残業であったり、殺伐とした仕事内容に心がずっと消耗していて。
仕事をしていることが好きだったけど、ある日を境に一気にしんどくなって、そこから半年もしないうちに退職することになって。
そのタイミングで、前よりも自由度が高い日々が始まったのに、そこでも好きなことを許可できなかったのは。
苦手を取り去ったのに、自己否定が強かったからなのだろうなと。
会社を辞めて、やってみたいことがあった。
でも、うまくいっていないからと。成功していないからと。結果が出ていないからと。
結果が出るまで、好きなことをしてはいけない、みたいな。ガマンしないといけない、みたいな
フタをして、結局、頑張り続けていても、消耗を続けるばかりで。
結論として、好きなことを再開し始めてから、また読み始めて書き始めてから、また流れが生まれ始めている気がしている。
僕の初心という名の思い込みは、「頑張ったら結果が出る」「結果が出るまでひたすらやる」「ただし、楽しみを取り入れてはいけない」やばい、文字にするだけでも鬼畜ゲーすぎる。
ちなみに、結果が出るまでひたすらやってみてもいいけど、頑張っても結果が出るとは限らない。
楽しみを取り入れないからって、結果が出るとも限らない。
ならば、楽しみながら努力して、結果が出ても出なくても楽しくいられているのがいいじゃないかと。
かなり長く遠回りをして、やっと辿り着けそうな境地に感じている。
2024.02.01
(C)Aoi Tact