面と向かって相手に物を言うのは苦手だ。
言わないで決まったことに不満を言うなんてことはよしとしないため、
言う必要があることなら相手の反応など気にせずに言う。
それで本当に苦手なのかと言われると困ってしまうのだが、苦手なのは苦手なのである。
ただ、この面と向かって言えることが普段からしっかり出来ている人は、
顔が、“面”の表情からしっかりしている人だと感じる。個人的な印象だけれど。
どんなに相手にとってはぐさりと刺さる一言であっても、そこはもっと言葉を選んだり、
言い方を変えてもいい気がする、といったこともずばりと言える人というのは、
煙たがれたり怖がられたり、疎まれてしまうものだとは思う。
しかしその言葉によくよく耳を傾けると、相手のためを思ってあえて悪者になっているという図が多い。
言葉に信念を纏わせて発言をしている。
きついとは思うけど、間違ったことを言っているとは思わないと、断言できるほどの強さがある。
言葉の意味も分かりながら、それでも伝えなければいけないという熱意がある。
その姿が言葉が、とても眩しく、凛として映る。一言で言うなら、美しくカッコいい。
職場にこんな印象の先輩がいるのだが、十代の頃から地元を離れ、いろんな場所でいろんな経験を積んできた方のようだった。
私もよくずばっと言われることがあり、お節介でごめんと謝られもするのだが、
正直その言葉に何の悪意もないことは分かり切っているので、逆に言わせてすみませんという気持ちが強い。
これでさらに気遣いと目配りがとても濃やかで、どこまでも憧れるしかないという現実があったりする。
憧れが強すぎるとなんだか恥ずかしくなってしまい、何も言えなくなってしまうため、
仕事に差し障るためそれなりに普段通りを意識しないといけない事態になっている。
そんな私のちぐはぐな面が、悪印象を与えていないことだけをただ、願いつつ。



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