いつも野放し、というわけではなく、かといってそこまで頻繁に整備されている、というわけでもなく。
そんな原っぱが、生まれてから長年住んでいた団地の棟と棟の間に広がっていた。過去形だ。
二十代はじめに今の実家に引っ越すことになり団地を離れ、近いようで殆ど通ることがなくなってしまったその場所に、
帰省していた親友と会う約束から数年ぶりに足を運んでみた。
なんということでしょう。
といったナレーションと音楽が流れてきそうな光景がそこには広がっていた。
かつて緑で覆われていたその場所は、アスファルトで塗り固められていた。駐車場を増設したようだ。
団地の外れまで見なかったが、大通り沿いの何棟かを視た限りでは、
ほとんどの原っぱを固めたと思われる。
ただ緑が広がっているだけだったそこには、住人の車が何台も停まっており、
こんなに狭い場所だったのかと、今更のように驚いた。
小学中学の頃は、よく弟妹や友達と走り回ったり、
まりものようなぽわぽわの球をラケットの弾力性に富んだ布に当てて飛ばし合い熾烈な戦いを繰り広げる遊び(どんな商品か名前が出てこなかった)
で、熱く体を動かしたり、そして時に隣接した倉庫の上にその球を乗せてしまい、
あの手この手を使って球を地上に降ろす作戦を立てたりなど、とにかく思い出が湧いてくるような場所だった。
ささやかながら、自然に触れた一番最初の場所だっただろう。
夜になると、暗闇の中で何かを視てしまいそうで怖いと思ったことまで、思い出せる。
その場所は、私にとって原風景にも似た、心の芯に存在する場所だったのかもしれない。
一部有刺鉄線で入れない場所はあるものの、引っ越し先の周辺に緑が多く、
たまにいろんなルートから歩いてみるといろんな原っぱに出会えており、まだまだ歩き足りないくらいだ。
直接足で踏みしめられなくても、人の手足を遠ざけている状況が続き、これからもこの風景が残っていてくれたらいいと、
ひっそり願ってみる。
(C)Aoi Tact