私は現在、心の底から化粧を面倒くさがっている。
まともに化粧をしていたのは、最初に勤めた会社で事務仕事をしていた時だ。
社会人のしゃの字もまだまともにこなせないような学生あがりの状況だったが、
学生時代に試したことがなかったので一応真面目にやっていた。
伯母から就職祝いに化粧道具を買ってもらっていたので、いろいろ開拓しようという気合いもあったように思う。
今思えば少々派手すぎるようにも感じる化粧をしていたこともあったような気はするが、
元来のもったいない精神が発動してひたすら薄めを心がけていたので、思いきり注意されたことは無かったように記憶している。
今思い出すといろいろ考えてしまう状況だったが、その二年間が私の化粧のピークだった。
次に勤めた場所では、忙しいというより凄く忙しい店だったため、
どんなにいろいろ塗っていても数時間動きっぱなしで仕事していれば汗で落ちてしまう。
何より、ティッシュなどで汗を拭き取れば化粧も一緒に落ちるため、
ひょっとして滴るに任せてしまった汗にも溶け出してしまっているのではないかと思うと、不衛生な気がして嫌な気分になった。
包装された普通の商品だけではなく、ファストフードも扱っていたため、衛生には気を遣うようになったのだ。
ベテランの先輩たちは鉄壁のメイクを崩すことはなかったが(一度くらいすっぴんを見てみたかったと思う人たちだった)
その徹底さを真似できそうになかったというなんとも女子力が問われる結論にも辿り着いた。
本当に余裕がある日は年に何度か化粧をしていたが、朝一番からのシフトが多かったため、ほとんどはすっぴんだった。
幸いというか、チークを塗らなくても動いているうちに勝手に頬は紅く染まるため、クマの出かけた瞳をのぞけばそこそこ化粧をしている気分は味わえたのだが。
現在の会社ではというと、以前のコンビニよりは時間的余裕が出来たように思うものの、
それまでの勤め先と違い外部のお客さんと接する機会がほとんど無くなってしまったので、
人に見せるための化粧の必要性というものが、自分の中で急速に失われていってしまった。
それでも周囲の女性陣が素敵に全身コーディネイトしているのを見ると、「この状況を自分が壊したら申し訳ない」とか思い、
それなりに化粧をする回数は増加している。
現在は、「バスに間に合いそうだったら化粧する、乗り遅れそうならすっぴん」といった基準になってしまっているので、
どこまでもどこまでも、面倒くさいという気持ちには変わりないのだろうなと、ひしひし自覚している。
ただ、アイシャドウなど目元の化粧道具が長年使っていなかったら固まってしまっていたり、
チークも就職祝いのものをまだまだ使っていたせいか、さすがにそろそろすり減りすぎて買ったほうがいいかもという段階になってきたので、
まとめて探しに行く必要性に迫られたら、化粧に再び目覚めてちゃんと選びに行くべきかとも、密かに考えている。
どのくらい安いかという視点で見てしまわないようにとも心に決めたいが、これはどうなるか分からない。
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