物語の表紙をそっと閉じて、
あのときの答えがわかるのは、
きっと一万年後のこと。

どうか振り返った先に希望がありますように。


*****

filamentzプロデュース
「息を止めるピノキオ」

23日に無事に公演終了いたしました。
ご来場くださった皆様、関係者の皆様、応援してくれた皆様、
本当に有難うございました。
 



本番が始まる直前から、ずっと、門が視えていました。
それはあたしにとって此岸と彼岸を隔てるもの。
向こう側に行きたいけれど、けして通り抜けることはできない。
まだ、生きているから。

落とし穴から這い上がって門に辿り着くまで、しんどかった。
何も持てていないから、何もできなくて。
みんなにほんとうにたくさん迷惑をかけました。
不甲斐ない。
苦しくて悔しくていなくなりたいと何度も思ったけれど
台本を手放すことだけはできなかった。
…手放せる人間じゃなくてよかったと、我ながらほっとしています。。
とはいえ迷惑をかけたことは事実なので、ほんとうにごめんなさい。
みんなありがとう。

あまりにもできなくて、稽古場ではいろいろと吐露してしまった、
あたしがずっと手を伸ばしていた彼女の中身について
ほんの少しだけ残そうと思います。
もちろん、劇場でお客様に観てもらったものがすべてです。
今更書き連ねるのはかっこ悪いしみっともないし、
自分の未熟さを露呈することだし、
なにより幕を閉じた物語の蓋をこんなところで開けてはいけないと思います。
思うけど。
…少しだけ。


あたしの中の彼女は、ひどく自己中心的なひとでした。
「すべての人のため」「人間のため」「人を救う」「世界を救う」
どれも違和感がありました。
その違和感が拭えず、彼女が生きている意味がずっと見つけられなかった。
稽古場で演出の佐野木くんに聞かれました。
じゃあ何故死ななかったのか、と。
家族を喪ったときに一緒に死ねばよかったのに、何故、生きているのかと。
即答しました。
「死ねなかっただけ」

あたしの彼女は、死ななかったのでも、生きているのでもなく、
ただ死ねなかっただけでした。
そして自分と似た境遇のエレナについては、正直、会いたくなかった。
エレナの言葉は彼女にとってはすべて諦めた「過去」で、「綺麗事」で、
叶わなかった現実を否応なく突きつけてくるものだったから。
会いたくない。関わりたくない。
出口のない迷宮に入り込んだように、自分のことも周りのことも何も見えなくて
死にそうでした。

あるとき、江益ちゃんのエレナと向かい合ったとき、世界が反転しました。
エレナのような人と会う度に「過去」を引き摺り出されるのはもう嫌だ、
だから「世界を救う」、そしていずれは人間が滅びればいい。
「すべての人のため」、人間を滅ぼす。
黒が白になった。

「死んだ人間は二度と戻ってこない」
そのことをずっと考えていました。
門の向こう側。
此岸と彼岸。

テオに対してやりたい放題していたのは、
あのコは自分の側にいることが当然だと思っていたからです。
テオの「なぜ?」に対して答える「そのために造られた」の「そのため」は、
当然、人間のためなんかではなく、あたし個人のため。
彼女がテオに無意識に甘えていたように、
あたしも舞台上のあやかに甘えていました。
あのコがそこにいてくれたから立てた。ほんとうに。

大切なものはいつも喪ってから気づく。
岡田くんのピノキオは、彼女が出逢うときには
もはや機械の名残すら感じさせないほど人間で、だからこそなにより苦しかったのは
彼が彼女を信じてくれることでした。
彼が最後に語る未来への希望を聞いたとき、いつも決意していたことがあります。
それは稽古を見ていた佐野木くんがふと言っていたことで、
ただの可能性の話で、
でもあたしはそれを信じたい、信じようと思いました。
どこにもいけなかった彼女が
此岸と彼岸の門の前で立ち尽くしていた彼女が
やっと足を踏み出せたのはピノキオのおかげです。

カーテンコールで、しれっと手を繋ぐようにしたのは、2ステ目からでした。
差し出した手を、あやかが笑顔で取ってくれることが嬉しかった。
あのコの笑顔と繋いだ手の温もりを感じるために生きてると思った。思えた。
それを観た友達が
「てんこさんのハンナはテオを可愛がりたかったんだなと思った」と言ってくれて、
救われた思いがしました。


ハンナちゃん。
あなたのすべてを抱えてあげられなくてごめんなさい。
全部あたしのせいです。
もっと早く気づいてあげたかった。
あたしにとってあなたはどうしても切り捨てられない大切な存在でした。
ぼろぼろになったけど諦めなくてよかったと思います。
そばにいてくれてありがとう。


…全然少しじゃなかったな←
長くなったついでに、みんなのことも。
Bチームはみんなまっすぐ素直でかわいいコたちでした。
人見知りかつ既にいい年齢のあたしには大変眩しかったです…。笑
あたしが出逢うピノキオが岡田くんでよかったと心から思います。
江益ちゃんのエレナも、おんちゃんのジミニーも、
安定のあらたさんのゼペットさんも。
あたしのテオはもうあやか以外に考えられないなあ。
ほんとに舞台の上で、稽古場で、みんなにはたくさん助けてもらいました。

そしてスタッフの皆さんにも、言葉にできないほどお世話になりました。
舞台監督の小林さんにはいろいろと気遣っていただいたし、
奥田くんの照明はほんと綺麗だった。
音楽の瀬奈さんは稽古場にもたくさん来てくれて、
出来上がった楽曲もそれぞれのチームの芝居に合うように微調整してくれて、
こんなに幸せな作品は他にないと思います。
打ち上げの帰り際に言ってくれた言葉がすごく嬉しくて、嬉しくて、
嬉しかったので、あの死にそうだった時間も無駄じゃなかったと思えました。
まだまだ諦めずにがんばります。
あー、もうゆうたくんには全然頭が上がらないんだよなあああ。
モルフェウスのときから迷惑かけっぱなしで、ほんとかっこ悪いし申し訳ないし、
だけど信じて付き合ってくれてありがとう。
君にはいつか返します、何かを。たぶん。きっと。

佐野木くん。
こんなことを言える立場じゃないとわかってはいるけれど
あたしはやっぱり、あなたの物語がすきです。
どうかまた一緒にやらせてください。


今回関わったすべての方々へ。
またいつか、劇場でお会い出来ますように。

誠 に 有 難 う ご ざ い ま し た !


*****


いろいろ思うところはあるけれど、
もしかしたらあたしにも愛があったかもしれないと思えたので、
諦めたりせずにしっかり次に進みます。
…まだ諦めない。
満足するまで、納得するまで、何度も何度も何度も繰り返す。
ちゃんとこの手に掴むまで。


次回は、12月です。
完全にはじめましての団体です。
お互いにお互いのことをまったく知りません←
あたしのことを何も知らないひとに、あたしはどう見えているんだろうと思って
何も知らない団体さんのオーディションを受けました。
だからあたしも、この団体の作品を観たことがありません。
いまのところ、関係者にも知り合いはいません。
一応、知り合いの知り合い的なひとはいるみたいだけど、
直接知ってるひとは誰もいません。

…自分で望んで得た状況とはいえ、人見知りにはだいぶ高いハードルで、
だけどあたしはなぜか初対面のときに人見知りがバレないんだよなあ。
ある程度お互いを知ったあとにそれを言うと、相手には深く頷かれるけど。

がんばります。
ちゃんと役者として一歩踏めるように、がんばりたいと思います。

詳細が公開されたらちゃんとお知らせしますが、とりあえず。
日程は12/18(水)~25(水)です。

さて。
ここ数年この時期は息を潜めてひっそりと過ごしていたので
みんな忘れてると思うんだけど、12/24は誕生日です。
あたしの。
おそらく人生で2回目と思われる、本番期間中に誕生日を迎えます。
ひとりでも多くの顔が見られたら嬉しいな。
たくさんのひとに会えるように、まずはしっかり稽古を頑張ります。
人見知りしてる場合じゃない。。


日付変わったから、今日が顔合わせです。
超緊張する。。
ううう、負けない!めげない!!
今夜、いってきます!