blacklighthouseのブログ -8ページ目

blacklighthouseのブログ

ブログの説明を入力します。

この回答は、昨今の金価格急騰に何らかの関係がありますか?また、アメリカの基軸通貨特権の危機やアメリカ国債や株式市場におけるパラダイムシフトの影響としてどのような将来が待ち受けているかを教えてください。

 

はい、大いに関係があります。前回の議論で触れた「個人主義的なグローバリゼーションの終わり」と「国家や集団を重視する新しいパラダイム」への移行は、昨今の金価格の急騰、そしてアメリカの金融覇権全体の将来を読み解く上で、決定的に重要な鍵となります。

これらは単独の現象ではなく、世界経済のOSが書き換わる中で起きている、相互に連関した地殻変動なのです。


 

なぜ今、金(ゴールド)が買われるのか? 🪙

 

金価格の急騰は、このパラダイムシフトを最も象徴的に映し出す鏡です。金は「無国籍の通貨」であり、特定の国家の信用に依存しません。つまり、世界の分断が進み、国家(特にアメリカ)への信頼が揺らぐ時代にこそ、その価値が輝くのです。

現在の金買いを主導しているのは、個人投資家以上に非西側諸国の中央銀行(特に中国、ロシア、インドなど)です。その動機は明確です。

  • 脱ドル化(De-Dollarization): ロシアの資産凍結を目の当たりにした各国は、外貨準備をドルに集中させることのリスクを痛感しました。ドルはいつでもアメリカの意向で「武器」になり得ます。そこで、アメリカのコントロールが及ばない金に資産を移し、経済的な自立を確保しようとしています。

  • 来るべき世界への備え: これは単なるリスクヘッジではありません。世界がアメリカ中心の単一秩序から、複数の極がせめぎ合う「多極化」時代へと移行することを見据えた、戦略的な動きです。自分たちの経済圏を築く上で、ドルの影響を受けない金は極めて重要な裏付けとなります。

つまり、金の急騰は**「信頼」で結ばれていたグローバル経済の終わりと、「不信」と「自国第一」が渦巻くブロック化経済の始まり**を告げる号砲なのです。


 

基軸通貨特権(ドル覇権)の静かなる危機 📉

 

アメリカの「基軸通貨特権」とは、ドルが世界の決済・準備通貨であることから得られる絶大な恩恵(低金利での資金調達、貿易赤字の垂れ流し等)を指します。この特権もまた、新しいパラダイムの中で静かに、しかし確実に侵食されています。

その原因は、国外の「ドル離れ」だけでなく、アメリカ自身の国内政治の変化にあります。

  1. 右派(国家主義)の脅威: トランプ政権に見られるような保護主義的な政策(関税の乱用、同盟国との対立)は、これまでドル体制を支えてきた自由貿易の枠組みを自ら破壊する行為です。

  2. 左派(大きな政府)の脅威: 大規模な財政支出を伴う政策は、インフレと財政赤字のさらなる拡大を招き、ドルの価値そのものを長期的に希薄化させる懸念を生みます。

  3. 共通の脅威(政治の武器化): ドル決済網や資産凍結を外交の武器として頻繁に利用することで、アメリカは自らドルの「信頼性」や「中立性」を毀損し、他国にドルから逃れる口実を与えてしまっています。

ドルの地位が明日すぐに崩壊するわけではありません。しかし、世界の外貨準備に占めるドルの割合は緩やかに低下を続けており、「ドル一強」からユーロや人民元、そして金などを含む「多極的な通貨体制」へと向かう大きな潮流は、もはや止められないでしょう。


 

米国債と株式市場を待ち受ける未来 🎢

 

このパラダイムシフトは、金融市場の根幹である米国債と株式市場にも構造的な変化をもたらします。

 

米国債:もはや「絶対安全」ではない

 

かつて米国債は、世界中が疑いなく購入する「絶対的な安全資産」でした。しかし、その前提が崩れつつあります。

  • 買い手の減少: 中国や日本といった海外の主要な買い手が、米中対立や自国の事情で米国債の保有を減らしています。「脱ドル化」の流れは、米国債の需要減少に直結します。

  • 信認の低下: 議会の対立による債務上限問題の頻発や、膨れ上がる一方の財政赤字は、アメリカの返済能力(信認)そのものに疑問符を投げかけています。

  • 結果: 国債の買い手が減り、信認が低下すれば、金利は上昇圧力にさらされます(=国債価格は下落)。これは政府の利払い負担を増大させ、さらに財政を悪化させるという負のスパイラルに陥るリスクをはらんでいます。

 

株式市場:「選別」の時代へ

 

グローバリゼーションの時代は、GAFAMに代表される多国籍企業が世界中から利益を吸い上げることで、米国株全体が上昇してきました。しかし、この構図も変わります。

  • 逆風を受ける企業: 世界市場の分断や各国の規制強化により、これまでのようなグローバルな成長は難しくなります。特に巨大テック企業は、反トラスト法やデータ保護規制の格好の標的となるでしょう。

  • 追い風を受ける企業: 一方で、政府の産業政策(国内製造業の支援、インフラ投資、国防強化など)の恩恵を受ける国内向けの企業や、防衛・エネルギー安全保障に関連するセクターには資金が向かう可能性があります。

これからの株式市場は、市場全体が右肩上がりに成長する時代ではなく、**新しいパラダイムの「勝ち組」と「負け組」が明確に分かれる「選別の時代」**に突入すると考えられます。

要約すると、私たちは今、金融・経済のあらゆる側面において、これまでの常識が通用しなくなる歴史的な転換点に立っているのです。