探偵の使用する調査機材は日進月歩であるが

ここ二十年ほどは

大きく分けると

ビデオカメラをメインに使用する派と

デジタルカメラ、一眼レフカメラを使用する派に分かれていた。

 

どちらにも一長一短ある。

長所としては

ビデオカメラは

まわしっぱなしにすることにより取り逃がしが起こりづらい。

調査員の消耗度もカメラと比べると低い。

 

デジカメ、一眼レフは

とにかく静止画の品質が高く、報告書の出来栄えが動画から写真切り出しの物と

比べると格段に良い。

 

短所はそれぞれの長所の逆である。

 

偽装の観点からいうと

どちらかといえばビデオカメラのほうが偽装はしやすい。

ただコンデジは単純に筐体が小さいのでそれほど偽装に悩むこともない。

 

夜間撮影になるとコンデジはほぼ無力である。

一眼レフはおおげさなレンズを使用することにより大きな力を発揮する。

ビデオカメラはちょっとした暗所なら上位機種で間に合うが

本格的な暗所撮影になるとそれなりに準備が必要である。

 

ビデオカメラ派の探偵が作る報告書は

写真の品質のせいで、撮影風景が同じものであれば

デジカメ、一眼レフ派の報告書より劣る。

いざ裁判に報告書を使用する際に、経験豊かな目の肥えた弁護士は

報告書の作り直しを要求するかもしれない。

しかしビデオカメラ派は動画も提出していれば良い。

動画と報告書とをそろえて使えば何ら問題は無いだろう。

それゆえにビデオカメラ派の探偵は

一流になるため動画の撮影技術をきっちり学ぶ必要がある。

初心のうちは以前記したこのような映像ばかりとるだろうが

きっちりと学べば2か月後にはそこそこしっかりとした映像が撮れるようになっているだろう。

 

もちろん、報告書の文書部分は細かければ細かいほどよい。

よく素人探偵が作る

00:00 ××から出た

00:00 車に乗った

00:00 車から降りた

00:00 △に入った

 

のようなものではなく

 

00:00 ××の×側出口から×方向に出ると×通り×側の歩道を×方向に歩いていく。

00:00 ××前(住所)に停車している車両(車種 色 ナンバー)の助手席に乗り込む。なお運転席には

(人物の特徴をわかる範囲で)がついている。

00:00 車両が動き出し×通りを×方向に進む。

00:00 「●」交差点を右折、国道◇号線に入り×方向へ進む。

00:00 車両が『◆◆ビル』(住所)×側出入口前で停車する。

00:00 助手席から調査対象者(流派によりこの調査対象者を『甲』『本人』『第1対象者』などと言い分ける)が降車する。

00:00 『◆◆ビル』×側出入口からビル内に入る。

 

このように書いた方がよい。(これ以上に細かく書けるならその方がよい)

また基本は目の前で起こったことを記述するのみで

個人の主観や感想は除く。

依頼者からの要望があればそのような主観を入れる。

 

さて本題に入る

 

ここ5年程であろうか、我々が使用するタイプの市販のビデオカメラはほとんど進歩していない。

各社、ウェアラブル端末、アクションカムばかりに力を入れている。

皆、5年以上前のビデオカメラを、中には10年前のビデオカメラをいまだに使用している者もいる。

つまりそれほど進歩が止まっているのだ。

 

その反面、コンデジ、一眼業界は売れに売れて大盛況らしく

新機種目白押しである。

最近の機種は5分以内の動画も撮影できるのは当然として

その動画のデータがビデオカメラと互換性すらある。

 

静止画シャッターに加え動画撮影用のボタンを物理的に備えた機種もあり

扱いも容易である。

 

このようなことから

数年ほど前から先進的なビデオカメラ派が

コンデジあるいは一眼メイン、ビデオカメラサブというスタイルに移りつつある。

私もちょっと試してみたが確かに悪くない。

 

またiPhone12のカメラは以前より格段に良くなっており

この調子ならいよいよiPhoneメイン、ビデオカメラサブでやっていける時代が来るだろう。

 

コロナ禍で調査キャンセルや日程の延期などが目立つが

そのような時こそ刃を研ぐ良い機会である。