クラーナハ展 500年後の誘惑@国立西洋美術館 上野 PART1 | ☆♪ブラックジャックの気ままな日記♪☆

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2017年1月15日まで開催されています。音声スペシャルナビゲーターは阿川佐和子さん、ナレーションは斎賀なつきさん。一部の音楽は千住明さんが担当されていて、心地好い楽曲です。




ルーカス・クラーナハ(1472‐1553)はルネサンス期ドイツの芸術家。1505年にザクセン選帝候に見初められ、招かれたヴィッテンベルクにて宮廷画家となる。

文化都市として栄え、のちにマルティン・ルターによる宗教改革の重要な地となったこの地に、クラーナハは大型工房を構え、以後、半世紀にわたり、肖像画、祭壇画、木版画、銅板画を制作した。

また、筆が早いことでも知られ、大量生産を実現する分業システム(手足だけを描く担当、背景担当など絵画のパーツ毎に専門家が効率的に担当)を確立し、新たな芸術マーケットも開拓した。

1510年ごろから、ザクセン選帝候から授けられたサイン(蛇が冠をかぶり、ルビーを噛む)を工房の生産物に対する商標として機能したので、彼の作品のブランド価値を高める効果があった。

1518年の宗教改革に伴い、独特な視線、感性、後に言われる魅惑の裸婦像を描き始める。

クラーナハの作品は貴族、王族への贈答品として使われたり、選帝候一族の権威を高めるために大いに利用されたと言われている。





●聖カタリアの殉教

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王家に生まれた聖女カタリアは、皇帝の求婚を拒否し、罰を受けようとするが、空が荒れ狂い、刑具の車輪が打ち砕かれ、人びとは慌てふためき、騒然となる。ただし、カタリアは天を見上げ、まるで他人事の様に落ち着いた表情を見せる。これを冷たい視線、冷たい誘惑とも表現されています。

●アダムとイヴ(贖罪)

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主導権が女性にあり、女性が男性の肩に手を乗せている。背景の鹿、木々などが鋭く、細かく描かれている。ドイツ人は、より繊細に描く事を主としており、それを継承している。

中世までは裸を描いてはいけなかった。絵の大きさを考えると、王公貴族が自分の書斎、コレクションルームに飾るもの。公で観ることが出来ない、プライベートで観る感覚。


●ヴィーナス

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クラーナハは「ヴィーナスと蜂蜜泥棒のキューピット」により、裸像を発表した。画の中に「キューピッドは蜂の巣から蜜を盗もうとしたが、蜂は針でその指を刺した。つかの間の快楽をむさぼろうとしても、快楽は人に苦痛を与え、害をもたらす」という文言を付記する事によって、単なるヌードではなく、道徳性を主張する。ただし、このヴィーナスには文言がない。


初めての作品には文言を付与しているが、徐々に無くなる。身に付ける髪飾り、ネックレスを考えると、古代のヴィーナスというよりも同時代の女性(宮廷婦人)が服を脱ぎ捨て、しかも何処か分からない、真っ暗な空間、非常に挑発的、フェティッシュなこだわりがある。良くも悪くも、きわどい美学が表現されている。同時代は、宗教改革により、既存の宗教画が求められない時代。クラーナハが辿り着いたのは、観る者の心をざわつかせる、少し危ないヌードの世界。


よーく眺めていると不思議な違和感がある。右上腕部が短く、上半身は幼児体型、おへその位置もかなり前にデフォルメされ、下半身はしなやか、足が長く、成熟した女性を思わせる。ヴィーナスが手に持つベールは透明過ぎる。よりヌードを強調させている。

更にはモデルに同じポーズをさせると5分と持たないから、クラーナハのイメージで描いたのではないか?何故、背景が黒なのか?おそらくは量産体制を整えるためだったのではないか?とも言われている。


敢えて写実的に描いていない、自分の美意識で引いた線、自分の造形感覚でひとつのリズムのもとで描き、おそらくはクラーナハが追求していたものなのでしょう。

当時のイタリアの手法は、油絵の具、白いものが充実し、絵の具の物質感により、強い立体感を感じさせる。

一方、クラーナハは平面的、二次元的で、絵の具を透明に何層も塗り、透ける様な肌感がある。

これらを踏まえると、クラーナハは、とても女性が好きで、しっとりとした肌、何ともいえない妖艶な感じを観る側に与える。彼は、いかに観賞者を誘惑する事が出来るか、そこのみを絵に描いた様にも見える。毒があるから、嫌な人もいるけど、惹かれる人もおり、感じ方も異なる。それも芸術の楽しみの1つ。


●ルクレティア

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ルクレティアに関しては三作品が掲示されていましたが、僕が気になった絵画がポストカードに無かったのが残念。この作品もヴィーナス同様に裸婦像、ベール。異なるのは剣を刺して、少し血が流れている。これは古代ローマの女性で人妻だったが、王子に凌辱され、夫に全てを話して、「復讐してください」と言って亡くなる貞女の鏡と言われている。死に行く表情には見えない。達観した、冷たい視線、誘惑とも感ずる。
顔自体も幼い感じで、ちょっと悪い意味では「変態性」。ただ、この不可思議さが見るものの「変態性」と共鳴する。無論、全ての人とは言えません。人それぞれに感性が異なり、不快に思う人もいるでしょう。


PART2へと続く♪