天皇陛下が皇居に住んでいるタヌキのフンを分析し、食べ物について論文を発表しました。
タヌキは、柴犬など中型犬ぐらいの大きさで、犬科に属します。
タヌキと聞いて、どんな印象を持ちますか?
ふっくらとして、ちょっととぼけたユルキャラ、ジブリ作品をイメージする人もいるかもしれません。
顔は、キツネよりも太めで、キツネは鋭角な目をしているけど、タヌキは目の回りにある黒い模様がパンダの様に、左右に下がっているからタレ目という印象に帰着する人が多いです。
タヌキを漢字で書くと、「狸」。ケモノ編に、里を合わせています。タヌキは里山を代表する哺乳類です。そもそも里山とは、日本の農村の景観で、人が農業のために、長い時間を掛けて作り変えた場所です。里山には畑や萱場という草原など様々な環境があります。
里山には、人の営みがあるので、クマやカモシカの様な奥山の動物は暮らせません。クマやカモシカは身体が大きく、行動圏が広く、警戒心が非常に強いので里山には適していません。本来はサルも同じ奥山に住む動物でした。
奥山に住む動物は繁殖力が弱く、警戒心が強いので駆除などされる里山では暮らしにくい。
これに対して、タヌキは身体があまり大きくなく、警戒心も然程無く、繁殖力も高いので里山に住むのに適しています。特に雑食でもあり、他の動物と比べても融通がききます。春は桜や木苺の果実、夏は昆虫、秋から冬は様々な果実、冬は哺乳類など季節毎に旬の食物を食べます。野生の食物だけでなく、栽培された柿の実や銀杏などを食べ、残飯など他の野生動物では利用しない食物も開拓するたくましさも備えています。
こうした融通性もあり、タヌキは里山で生き延びてきました。キツネやアナグマなども里山で生き延びてきたけど、里山が都市に変わると郊外に逃げる様に分布が狭くなった。ノウサギは萱場が無くなったため、里山から居なくなりました。
その中でタヌキだけは生き延びています。
タヌキで有名な「カチカチ山」は、畑を荒らす悪いタヌキがお婆さんを騙して殺し、お爺さんに食べさせるという悪役として登場し、それを懲らしめるウサギに徹底的に酷い目にあうという話です。これは室町時代の話とされ、古い時代の農民にとって、タヌキは被害を出す迷惑な動物だった事が分かります。
「ぶんぶく茶釜」は、悪いことをして殺されそうになっているタヌキを、優しい男が救ってあげました。タヌキは恩返しをしたいと思いました。お茶を好きな和尚さんが茶釜が欲しいというので、タヌキが茶釜に化けたのですが、お湯をわかす事になって熱さに耐えかねてタヌキに戻ろうとするけど、身体は茶釜のままでした。それを活かして見せ物としてお金を稼いで男に恩返しする話です。これは江戸時代の話で、タヌキに間抜けな面が見られます。
この二つの話に共通しているのは、タヌキが化けるという事。
現代のタヌキのイメージは、化かす、悪事を働くものではありません。
タヌキは食物が乏しくなる冬に備え、脂肪を蓄積させるために、秋に果実などをよく食べる。そのため、下腹が出っぷりと膨らみ、走るとプリプリと身体が揺れる。これは、メタボなおじさんをイメージさせ、相撲取りがお腹をポンポンと叩いたりした、太い腹を太鼓腹と表現し、ポンポンコタヌキとイメージされたものと思われます。
化かすという事を考えてみます。昔の人はモノが無くなると、何か不思議なモノが現れて持っていったと考えました。今でも、キツネにつままれたようだ等と言います。
タヌキは人里に住んでおり、人に見つかると暗闇に消え去りました。その時、追手の動きを確認するように振り返る。その様子が如何にも小心者が悪事を働く時のように見えるので、人々は怪しいと感じ、そのイメージが化ける、化かすとなったと思われます。
タヌキの父親が子育てに協力する事が最近になって分かってきました。生育地も里山だけでなく、かなり高い山、海岸に住んでいるが、まだ調べられていない場所が多いです。
20年前にメダカが絶滅危惧種になり、最近も季節を知らせる昆虫も減少し、記録が取れなくなったと報じられました。
タヌキが絶滅危惧種になるのかは分からないが、タヌキだけでなく、より動物に寄り添う社会になって欲しい。