デジタル技術の発展で小説や漫画などを電子化したり、アーカイブとして大量の作品をネットで公開したりするなど、著作物を二次利用する機会が増えている。二次利用の際は原則、著作権の権利者に許諾を得る必要があるが、捜しても権利者が見つからないものも少なくない。こうした作品は「孤児著作物」と呼ばれ、権利者を捜すのに手間がかかることなどから、いかに利用を進めるかが課題となっている。
「権利者がわからなくても利用できる制度」
こうした時、権利者の代わりに文化庁が許諾を出すことで、作品を利用できる制度がある。
ただし、権利者が見つからないという事実を証明するために相当の努力を行う必要がある。相当の努力と認められるには、
1:インターネットやデータベースで権利者の名前や住所を検索、
2:著作権の管理を行っている団体に照会、
3:「著作権情報センター」のホームページに広告を掲載するといった条件をすべてクリアしなければならない。
また、権利者が現れた場合に支払うべき著作権の使用料を利用者みずから算出して、補償金として事前に供託することも必要だが、著作権の知識が少ない個人などはどのような根拠で算出するかがわからない。また、権利者が判明することが少なく、その結果、補償金の多くは国庫に入ることになり、権利者のための制度になっていないという指摘も出ている。
さらに制度を利用する際には1件当たり、手数料1万3000円と、著作権情報センターのホームページの広告掲載料として8100円の合計2万1100円がかかる。
結果、制度の利用が進まず、平成21年に著作権法を改正して制度の見直したが、平成26年の利用は41件にとどまっている。
こうした実情を踏まえ、日本文藝家協会、日本写真著作権協会、日本音楽著作権協会、日本漫画協会など著作権の管理を行う9つの団体は、利用者の負担を減らし、制度を利用しやすくしようと、実証実験を始めている。具体的には、著作権の管理団体が、孤児著作物の利用者が行わなければならなかった権利者捜しと、補償金の金額算出を代行し、2万1100円かかる手数料も負担する。実験により、どのようなニーズが、どの程度あるのかも探すこととし、今年2月まで実施し、結果によっては4月以降の事業化も検討するとの事。
故人の作品を電子化する試みも行われ(関係者すべてが故人となるケース)、海賊版のサイトに電子化された作品が載るかもしれないというのが実情。
海賊版が出てしまう前に日本人の創作物、著作物の流出をしないように文化庁による下支え、十分なサポートが必要となろう。