パレスチナ自治政府の当局は9日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)の被占領地で、イスラエル軍が装甲車で戦闘員の遺体をひいているとみられる映像がソーシャルメディアに投稿されたのを受け、「残忍な犯罪」だと非難した。

 西岸を統治するパレスチナ自治政府の外務省は、この映像はトルカレム(Tulkarem)での軍事作戦のものだと指摘した。

 イスラエル軍は8日夜、AFPの取材に対し、「テロリスト」3人を殺害し、トルカレム周辺で銃撃戦を行ったことを認めたが、映像には言及しなかった。


 ソーシャルメディアで拡散された映像は、防犯カメラで撮影されたものとみられる。装甲車が死亡しているとみられる男性の体をゆっくり乗り越えていったん停止し、再発進して走り去る際に後輪で再び体を押しつぶす様子が捉えられている。

 同じカメラで撮影されたとみられる他の映像には、イスラエル軍と戦闘員の交戦の様子も映っている。

 パレスチナ外務省は、今回の事件にはイスラエル軍が育んできた「憎悪の文化」が集約されているとし、「この残忍な犯罪は、占領軍および武装民兵化したテロリスト入植者による犯罪の一つだ。こうした犯罪は今に始まったことではなく、今後も続くだろう」と非難した。

 イスラエル警察は、「指名手配中のテロリスト」を逮捕するため、8日にトルカレムで関係機関と共同作戦を実施したと発表。指名手配中の容疑者を逮捕し、さらに3人の戦闘員を殺害したと認めた。容疑者の罪状については詳細を明らかにしていない。

 マハムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長率いる主流派ファタハ(Fatah)系列の武装組織「アルアクサ殉教者旅団(Al-Aqsa Martyrs' Brigades)」は、3人は同組織の戦闘員だとしている。

 AFP特派員によると、トルカレムでは9日、3人の葬儀が行われ、多数の人々がシュプレヒコールを上げながら町を行進した。