番外:5分間ミステリー「乙女に映しておぼろげに」 | 雪うさぎ

雪うさぎ

 子供のときから、作文とか読書感想文は苦手で^^。
 つたないながらも、少女漫画と少女小説の紹介をして
いきます。

 T・RPGをプレイしない人にはなじみない

と思いますが、4面、6面、8面、10面、

12面、20面ダイス(サイコロ)です^^。

 4面は三角錐なので、画像では、123と

表記されているので、出目は4になります。
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クトゥルフの呼び声~クトゥルフ・ハイパーボレア~

はじめに

 「クトゥルフの呼び声」は、ラブクラフト原案の怪奇

小説「クトゥルー神話」の世界を再現したホラーRPG

です。
 ハイパーボレアはクトゥルー神話の世界を使った

C・A・スミスのファンタジー小説です。「クトゥルフ・

ワールドツアー」誌上においてルール化されました。
 が、ベーシックルール自体が絶版になっている為、

多分プレイする機会もありませんでしょう^^。

 ハイパーボレアは人類最古の王国で、北極近くに

ある架空の大陸に存在します。時代ははるか氷河

期以前にまで遡り、現在認知されている歴史とは異

なり、全くの未知なる文化の元で繁栄しました。
 やがて、氷河期の訪れとともにハイパーボレアは

滅亡し、その後、アトランティスやレムリア等のいく

つかの文明が栄えては滅亡し、現実の人類の歴史

が始まりました・・・・・。


主要キャラ。
*全部、過去に私がファンタジーRPGで演じたキャラだっ

たり^^。色々な性格のキャラを演じられるはずもなく、キャ

ラの差別化が難しいですね^^;。
リーヴェシェラス・・・戦士     男  通称・リーヴィ
エリザベス・・・・・・・神官     女  通称・リジー
トリシア・・・・・・・・・処刑執行人 女
アーネスト・・・・・・・狩人     男  通称・ネス
シンシア・・・・・・・・呪術師    女
ヴァリスティーゼ・・・狩人     女  通称・リタ


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1.怪しい執事

 「ここですよ~。我が故郷は!」
 リズがにこにこしながら言った。冒険の帰りに立ち寄った、それなりに大きい街のこれまた
貴族の邸宅だと思われる、それなりに大きい屋敷の前で。
 「サー・アンダーソン邸?あんたと姓が違うじゃん。」とはトリシア。
 リズはにこにこしながら、表札の下を指さす。そこには小さく「アンダーソン孤児院」とあった。
 「意外ですね。リズは孤児でしたか・・・」とはリタ。
 (それで、こんなにたくましいのか・・)とリーヴィは思ったが、当然口には出さなかった。が・・・
ペシ!と額を叩かれた。
 「何すんだよ・・・・」
 「・・・・なんとなく・・・ま、勘ですわ」
 いけしゃあしゃあとリズが言う。勘ではたかれてはたまらないが、悔しいことに当たっているの
で、ぐうとリーヴィは文句の言葉を呑み込んだ。
 リズが呼び鈴を押すと中から、リズそっくりの娘がでてきた。再会の言葉を交わしてから、リズ
が紹介した。
 「双子の妹のジェシカですわ。」
 「あんた双子だったのか・・・・・・」ぼそっとトリシアが言う。
 「ジェシカです。ジェスかジェシーと呼んで下さい。今はここの院長代理をしてます。」
 「・・・・・・・・。」。リズと言ってることが同じだ・・・・まさか、性格も同じなのでは・・・。
 中に入ると主のサー・アンダーソンと妻のベアトリス・・・娘のメアリーとその夫(婿養子)のニー
ルを紹介された。館の中は玄関から部屋まで、様々な調度品があり、ちょっとした博物館状態だ
った。
 どうみても孤児院っぽくないが、リズをみつけると子供たちが「リズ姉ちゃんだ」と集まってきた。
結構、人気者らしい。

 夕食がは子供達も一緒なのでかなり賑やかだった。
 食堂も高価そうな壺やら、絵画やらが所狭しと並んでいる。今、手にしているワイングラスも、かな
りの値打ちものだと思われたが、メアリーが笑いながら「全て、贋作ですわ」と笑いとばした。
サーも、ベス(ベアトリス)もリズも笑いながらうなづく。
 「うーん。やっぱり、孤児院らしくありませんね。何か経緯があるんじゃないですか?」
突然、質問したのは、シンシアだ。何やら考えこんでいたが、そんなことを思っていたらしい。
 「あー。前は別のとこであたしが、経営していたんだけどね。」
と言ったのはベスだ。50にさしかかろうか・・・という歳らしいが、まだ、30代で通用する容姿と性格
の持ち主らしい。
 「アレからですね~。」美味しそうにワインを呑みながら言う。
 「あれって?。」とリタが問う。
 リズとジェスが顔をあわせて「ふっふっふ」と笑う。やはり、リズが二人だ・・・とリーヴィは思った。
 「我が、幼少の懐古録をお聞かせしてしんぜよう・・・」

 その頃の・・リズがまだ8歳の頃・・孤児院はアダーソン邸から少し離れた、街の片隅にあった。
院長のベアトリスが面倒をみているのは、リズ姉妹を含め12人。
 ベアトリスは30代半ばの女性で、未亡人だとか離婚したとか言う話だが、真相は分からない。
 運営費用は、ベスの裏家業から捻出されている。裏家業とは、盗品の贋作作りや、盗品の売買と
言ったそういうことだ。当然、一番年長のリズ姉妹と餓鬼大将肌のレイフ以外の子供たちには内緒
だが。勿論、ベスは孤児院をやっているからと言って、子供達を売りさばく・・・人身売買をするような
悪人ではない。善意で運営していた。
 ある日のこと、孤児院にニールが訪ねてきた。
 「あ、またあいつだ・・・。」レイフがいやそうな顔をする。ニールはメアリーのとこの執事だ。メアリー
は貴族だが、自由奔放な少女・・・もう16なので、リズたちより8も上だったが・・だったので、それ
なりに交友があった。
 アンダーソンは、先祖が泥棒で財をなし、今、館にある調度品は全て盗品だ、と言う噂もある。
 「最近、良く来るね。ベスの新しいパトロンかしら・・」にやにやしながら、わざとジェスが言う。
 「そんなわけあるか!」レイフが返した。
 実はレイフはメアリーに好意を寄せていたが、メアリーはニールに好意をよせており、後々は夫婦
になるだろう・・・と言う噂なので、ふたまたをかけているあの男が嫌いなのだ。
 二人が院長室に入っていくと、ドアのところに集まって、聞き耳をたてる。
 中からは断片的に「またなの?」「今度何の贋作を?」と聞こえてきた。どうやら、最近、頻繁に訪
れるのは、ベスに贋作職人の仲介を頼んでいるらしい。
 「メアリーのとこの執事がなんで、贋作なんか必要なんだろう?」とレイフ。
 「そういえば、メアリーのとこって、たくさん壺やらなんやらあったよね。」リズが囁く。
 「まさか・・・・それを偽物とすりかえて、お金にしてるのかしら?」とはジェス。
 「それ、大変なことだろ・・・・」
 「でも、ゆくゆくは苦なく自分のものになるんだから、そんなことする必要ないんじゃないかしら」
 リズが当然のことを言う。
 「もしかしてさ・・・あいつ詐欺師かなんかじゃない?」ニールを悪人にしたいレイフが言った。
 「うーん。」今すぐお金が必要な感じには見えないし、そうだろうか?とリズ姉妹はうなった。

2.アンダーソン家の人々

 そんなことがあった数日後、メアリーが手作りのクッキーのおみやげを持って孤児院に遊びにきた。
 「お前んとこのさ。ニールさ、なんか怪しくね?」
 クッキーをつまみながら、レイフが早速言う。
 メアリーは一瞬きょとんとしたが、ため息をついて「良く分かったわね」と言った。
 「と、言うと?心当たりが?」リズが問う。
 「実は、この間、偶然みちゃったのよ。ニールが、廊下にあった花瓶をそっくりなものとすり替えて
いるのを・・・」
 「それって、泥棒じゃん・・・・」ジェスが言う。
 「それ、親父に言った?」
 「うーん。どうしようかなーと悩んでるとこ。」
 メアリーはニールに好意をよせていたので、迷っているらしい。
 「よし、メアリーの家から本物がなくなる前に、ニールの尻尾をつかんでやる」
 レイフが息巻く。「・・・このおませが・・・。」ジェスが呟いたが、幸いレイフには聞こえなかったらし
い。
 「できれば、こんなことはやめるように言ってね」
 メアリーに念を押され、しぶしぶながらレイフはうなずいた。

 それから、ニールの後を尾行すると、外出する度に3~4軒の家を訪問するのが分かった。
 「何してるのかしら。」ジェスが呟く。
 ニールが訪問するのは、中流以上の裕福な家ばかりだ。
 ニールがウイルキンズと家を訪問して帰った後、その家の人に何しにきたのか、聞いてみたら、
 「いえね。トイレを貸してほしいって。」とその家の奥さんは言った。
 「トイレって・・・」うーん、と3人で首をひねる。
 「まさか、メアリーの家では飽き足らず、そこら中の家の骨董品を盗んでるんじゃ・・・」リズが言う。
 「その為に、贋作作りの依頼をベスに?」ジェスが答える。
 「じゃあ、凄い大悪党じゃないか。」とは、勿論、レイフ。
 「そういえば、さっき玄関から見えた壺、院長室にあった贋作と同じものだったわ」
 目ざといリズがいった。
 「それじゃ、やることは決まりましたね・・」二人で、ふっふっふと笑う。
 「・・・・?。さっぱりわかんね。」レイフが一人ごちる。
 「だから、今夜、私達が、忍び込んで、その偽物を本物とすりかえるのよ。」
 「そうすると????」
 「だーから、あたし達が、先にすりかえておけば、ニールは、知らずに偽物を本物をすりかえる
ことになるわけ。」ジェスが説明した。
 「あ。なるほど・・・・お前たち頭良いな」
 ほめられるほどのことじゃないと思うが・・・とは二人とも口に出さなかった。
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3.乙女に映しておぼろげに

 その夜、すりかえ作戦に成功して意気揚々と孤児院に帰ってくると、ベスとニールが待ち構えて
いた。
 「あなたたち!どこ行ってたの?!」
 ベスはおかんむりだ。
 「なんで、ニールがいるんだよ」レイフはひるまない。
 「仕事の話をしていたのよ。それより、その重そうな袋は何?!」
 「これはですね・・・」
 リズが全てを話すと「はあ・・・あなたたち仕事の邪魔をしないで頂戴。」
 「邪魔って・・・」ジェスが不服そうにいう。
 「それは、私から話そう・・」ニールが言った。「アンダーソン家が泥棒で財をなした・・と言う噂は
知っているだろう?」
 「ええ。まあ・・・知ってます」リズが答える。
 「それは事実だ・・・」
 「えええ?!」一同が声をあげる。
 そこで、サー・シンプソンは、祖父の罪を償う為、本物を元に戻そうと考え、ニールに実行させて
いたそうだ。しかし、2代も昔のこと、どこの家から盗んだものかわからず、比較的裕福な家を訪問
して、調べていたそうなのだ。
 そして、今回、リズたちがもってきたのは、ニールがすりかえた後のもの・・・つまり本物をもって
きてしまったらしい。
 「もう一度、忍びこまなくてはならんな・・・。」ニールは苦笑したが、
 「あ、でもなんで、サーは、ベスが贋作作りの仲介をしてるなんて、知ってるのさ?」
レイフが問う。
 ベスは髪をかきあげ、余裕の表情でこう言い放った。
 「そりゃ知ってるわよ。なんせ、元妻だもん」
 「えええええ~~~?!。」これにはリズも驚いた。
 「私が、普通の男で満足すると思う?。ま、それはともかく、今、この孤児院立ち退き要求されて
てね。お金も必要だったのよ。」
 「そうでしたか・・・」リズが気がぬけたように言った。
 「あ、念の為言っておくけど、このことはメアリーには内緒で頼む。」
 「もちろんですわ。」ニールにリズが答えた。

 その後、孤児院は取り壊しが決まってしまったが、ベスとサーがよりを戻し、孤児院の子供たち
は、アンダーソン邸が第2の故郷となった。
 そして、ニールとメアリーがはれて夫婦となり、サーは孫の生誕を楽しみにしているらしい。
 レイフは独立して、同じ孤児院の娘と結婚し、今は子煩悩なパパだ。時たま、”弟”や”妹”たちの
様子を見にきているらしい。ベスがまだ早いが隠居し・・・・・実は、結局メアリーにもばれてしまい
サー、ベス、ニール、メアリーの4人ですりかえ作戦をこつこつとやっているらしい・・・・

ジェスは院長代理として孤児院をとりしきっている。

 リズは、リーヴィたちの知っての通り。

 翌朝、「また来るね~」とリズが言い残し、アンダーソン邸を後にした。
 リズは、メアリーに貰った、贋作の小さい花瓶を手ににこにこしている。贋作とはいえ、かなりの腕
の贋作職人の作ったものだろうと分かる品だった。ベスも、女手1つで孤児院を経営していただけ
あって、中途半端な仕事はしていなかったわけだ。
 「ところでさ・・・・・。」てくてくと歩きながら、ネスがリズに言った。
 「なあに?」
 「昨夜の話、おかしくない?」
 「おや?気づきましたか・・・」にやにやと笑う。みんな、そう思っていたらしい。
 「え?どこが?」リーヴィひとり、きょとーん、状態だ。
 「おばかね~」リズに笑いとばされて、
 「悪かったな・・・どうせ、僕は頭悪いよ・・」むくれるリーヴィに
 「まあまあ・・・。」リタがなぐさめた・・・


真相は後日w