男はロンドンのヒースロー空港に着いた。モスクワ経由のエコノミーに長時間乗せられて、疲れていた。

ベージュのコートを来た女が、合図の名前が書かれているプラカードを持ってイミグレーション出口で待っていた。

女は男を見つけると、男のトランクを引っ張ってタクシー乗り場へと案内した。

それから男と一緒にロンドンタクシーに乗り込んむと、女が運転手にアイルランド訛りの英語で行く先を告げた。

タクシーは、ピカデリーサーカスの近くの裏道へと入って行き、古びたアパートメントハウスの前で止まった。

女が先に立ってビルの中に入って行った。

エレベーターはあったが動いておらず、男は階段を重いトランクを抱えて4階へと上がった。

303号室のドアをノックすると、ドアが開いて中に入る。
黒いタキシードを着こんだ年配の執事が挨拶し、男は高級なソファーに案内された。

女はトランクを押して、執事と共に部屋の奥に消えて行った。執事はミルクティーとカップを持って来ると、男の前に置いて、ミルクティーをカップに注いだ。

執事は、荷物確かに受け取りましたと言うと、内ポケットから100万ポンドの小切手を男の前に置いた。

男の運んだトランクは、モスクワで男のトランクと交換に受け取って、ここまでの運搬を頼まれたものだった。

中身はモスクワ郊外に落ちた隕石の欠片と聞いていたが、本当は地球上に落ちた宇宙人の卵であった。