男は天井裏に膝立ちで、部屋の中を見ていた。まだ、部屋の主人は戻って来ない。

30分前、男は3つ隣の部屋の屋根裏から排気口を伝って、この部屋にたどり着いた。

男の目的は、この部屋の主人を殺すこと。しかし、情報ではこれまでに3人のエージェントが失敗している。

しばらくすると、部屋の扉が開いて部屋の主人が、帰って来た。

手に黒いカバンを持っている。部屋のテーブルに黒いカバンを置いて主人はソファーに腰掛けた。それからタバコを咥えると、火を点けて大きな煙りを口から吐き出す。

天井裏の男は、穴から部屋の様子を見ていた。タイミングを見て右手のサイレンサ付きの銃を主人に発射するつもりだった。

次の瞬間、机の上の黒いカバンが自動的に開くと中からアンテナのようなものが表れ、先端からモコモコと泡を噴出、あっという間に部屋中泡だらけで、泡が男の視界を遮ってしまった。

男は天井裏から排気口を伝って廊下に降りると、急いで主人の部屋のドアを開けると、泡だらけの部屋に向かって銃を六発打ち込んだ。

一時間後、警察が泡の引いた部屋を鑑定している。
部屋には、銃に打たれた一匹の大きなカニの死骸があった。