そのヨットは伊豆の大島にあった。前の日に、東京から大島にやって来た男は、釣り宿で雑魚寝して朝を待った。

味噌汁と焼き魚と玉子かけご飯の朝食を胃袋に流しこむと、男はリュックを背負って出て行った。

港でヨットを見つけると、男は何処かに電話して、タバコを咥えた。二三度煙を吐きながら、待っていると、ヨットからサングラス男が出て来て、男を見つけると、手をふった。

男はヨットに近づいて、軽いステップでヨットに乗った。
それから、ヨットは静かに帆を張ると港を出て行った。

それから12時間、遥か太平洋上のヨットで、男は夜空を見上げていた。暗い星の間から流れ星が落ちて来て、いくつかが通り過ぎた後、いつの間にか戦艦大和より大きな宇宙船がヨットの真上に近づいて来た。

宇宙船から、光の輪がヨットを包むと男は宇宙船に転送されていて、宇宙船は静かにアンドロメダ星雲に向かって消えて行った。