ピラミッドが真っ正面に見えるホテルのロビーに男は座っていた。
ちょうど午後の日差しが窓から降り注いでいた。

逆光で、こちらから男の顔は良く分からない。しかも、大きなスーツを着ているので本当に太っているのかどうかも確認できない。

男は煙草を吸いながらコーヒーを飲んでいた。
しばらくするとボーイが小包みを持って来た。男はゆっくりと小包みを持つと、ゆっくりと歩いて出口に向かった。

そとにいた運転手にアラビア語で話しをすると、白のベンツは男と共に猛烈なスピードで出て行った。

14分後、ベンツが高速を時速200キロで走りながら、男は窓を開けると小包みを力いっぱい放り投げた。遥か後方で爆発する音か聞こえた。

それからベンツは、古い小さなピラミッドのある丘に停車する。男は日が落ちるまで待つと、ベンツを降りた。

すると満天の星空から、幾筋もの光りが落ちて来て、その中から半透明の大きな宇宙母船がそこら辺の空を被いつくす。

男は一筋の光に照らし出されると、あっという間に母船に転送されて行った