お釈迦様が天国にある蓮池のほとりで、池の中を見ると、遥か下の地獄にカンダタと言う男が見えた。この男は大悪党だけど、以前にたつた一度だけ蜘蛛を助けたことがある。

お釈迦様はこの時のことを思い出して、蜘蛛の糸をこの男に向けて落とした。カンダタは目の前の蜘蛛の糸に気がついて、これをよじ登って行く。これで助かった。そう思って下を見たらたくさんの悪党たちが、蜘蛛の糸を登って来る。カンダタは、これでは蜘蛛の糸が切れてしまう。そう思って、下から登って来るたくさんの悪党に向かって、降りろ、これは俺様のものだ、降りろと叫んだ。

途端に蜘蛛の糸が手元から切れて、カンダタは元の地獄に落ちて行った。

お釈迦様は、蓮池から悲しそうにこの様子を見ていました。


この刹那さは、世の中にたくさんあるのではないでしようか?