雨、雨、降れ、降れ。

小さい頃大きな声を出して歌っていた。


雨、雨、降れ、降れ。

小さい頃雨が大好きだった。

雨が降り出しそうな天気、臭い。そして雨が降り出した時の音。
全部、全部、大好きでした。

朝から雨の日はピンク色の合羽を着て、お母さんに買ってもらったお気に入りのピンクと赤の傘をさして、真っ赤な長靴を履いて外にでる。

あんまり遠くに行かないでね。というお母さんの声は聞こえているようで聞こえてなかった。
楽しくて、楽しくて、楽しみでたまらなかった。


まず公園に出かけて、濡れている滑り台、晴れている時はいつも大人気なブランコ、雨をたくさんあびですぐ泥だんごができそうな砂場。もちろん誰もいない。なんだかとっても楽しかった。嬉しかった。

だぁれもいない。
大きな声を出して言ってみた。
そんな声も雨の音が消してしまうのか、道を歩く人も…誰も反応しない。

私はますます楽しくなって歌い始める。

雨、雨、降れ、降れ。

誰も一緒には歌ってくれないけれど、私は楽しくて仕方がなかった。

ぴちぴち、ちゃぷちゃぷ、らんらんらん。


スキップをして公園を何度も何度もまわった。


そして私はまた歩き始める。


今度は人が沢山いる所へ。


ぴちぴち、ちゃぷちゃぷ、らんらんらん。


くるくると傘を回しながら歩く。
手と足を勢いよく降って歩く。

雨と私の行進だ。

1.2.1.2. 私は笑顔で歩く。


とってもとっても幸せな気分だった。


気がつくと、駅に来ていた。


人が沢山いて色とりどりの傘が沢山咲いていた。


凄く綺麗だった。


憂鬱そうな顔をして歩く大人たちを無視して私はまた大きな声で歌い始める。


雨、雨、降れ、降れ。

楽しくて楽しくて仕方がなかった。


周りの大人たちは不思議そうな顔をして私を見ていたけれど


私は気にしなかった。


雨が降っていることが何よりも嬉しかった。


私は大きな声で笑う。


「あははっ」


楽しかった。


なんだか雨も嬉しそうだった。


私がスキップをするとそのリズムに合わせて雨もぴちぴちと音をたてた。


らんらんらんっと歌えば雨も同じようにリズムをとった。


楽しかった。


いつまでも雨と一緒に遊んでいたかったけれど


あっという間に時間は過ぎて帰らなくてはいけない時間になった。


またね、雨さん。


またね!


そう聞こえた気がした、


私は腕を大きく振って歩き始める。


もう雨は止んでいた。


そして空を見上げると虹が一面に広がっていた。